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October 15, 2015 Vol. 373 No. 16

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気管支肺異形成症の予防を目的とした早期ブデソニド吸入
Early Inhaled Budesonide for the Prevention of Bronchopulmonary Dysplasia

D. Bassler and Others

背景

超早産児の気管支肺異形成症の発症率はグルココルチコイド全身投与によって低下するが,脳の発達が障害される可能性がある.グルココルチコイド吸入が超早産児の転帰にどのような影響を及ぼすかは明らかにされていない.

方 法

乳児 863 例(在胎 23 週 0 日~27 週 6 日)を,早期(生後 24 時間以内)にブデソニド吸入を開始する群とプラセボを投与する群に無作為に割り付け,酸素投与と陽圧呼吸補助の必要性がなくなるまで,または最終月経後 32 週 0 日に達するまで投与を行った.主要転帰は最終月経後 36 週の時点での死亡または気管支肺異形成症とし,気管支肺異形成症は標準化された酸素飽和度モニタリングにより確認した.

結 果

死亡または気管支肺異形成症は,ブデソニド群では適切なデータが得られた 437 例中 175 例(40.0%)で認められたのに対し,プラセボ群では適切なデータが得られた 419 例中 194 例(46.3%)で認められた(在胎期間で層別化後の相対リスク 0.86,95%信頼区間 [CI] 0.75~1.00,P=0.05).気管支肺異形成症の発症率はブデソニド群 27.8%に対しプラセボ群 38.0%であった(在胎期間で層別化後の相対リスク 0.74,95% CI 0.60~0.91,P=0.004).死亡率はそれぞれ 16.9%と 13.6%であった(在胎期間で層別化後の相対リスク 1.24,95% CI 0.91~1.69,P=0.17).動脈管開存の外科的閉鎖を要した乳児の割合はブデソニド群のほうがプラセボ群よりも低く(在胎期間で層別化後の相対リスク 0.55,95% CI 0.36~0.83,P=0.004),再挿管を要した乳児の割合もブデソニド群のほうが低かった(在胎期間で層別化後の相対リスク 0.58,95% CI 0.35~0.96,P=0.03).その他の新生児疾患の発症率,有害事象の発現率は 2 群で同程度であった.

結 論

超早産児に早期にブデソニド吸入を行った場合,プラセボを投与した場合と比較して気管支肺異形成症の発症率が低かったが,この優位性は,死亡率の上昇という代償を払って得られた可能性がある.(欧州連合,Chiesi Farmaceutici 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01035190)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 1497 - 506. )