October 15, 2015 Vol. 373 No. 16
新生児の血糖と 2 歳の時点での神経発達転帰
Neonatal Glycemia and Neurodevelopmental Outcomes at 2 Years
C.J.D. McKinlay and Others
新生児低血糖症は頻度が高く,神経障害を引き起こす可能性があるが,介入開始基準を支持するエビデンスは限られている.
低血糖症のリスクを有するとみなされた在胎 35 週以上の新生児 528 例を対象として,前向きコホート研究を行った.全例が血糖値を 47 mg/dL(2.6 mmol/L)以上に維持する治療を受けた.血糖は最長 7 日間,間欠的に測定を行った.間質液中のグルコース濃度の連続測定を行い,結果は臨床スタッフに知らせなかった.2 歳の時点での評価は,ベイリー乳幼児発達検査第 3 版,実行機能検査,視機能検査などで行った.
登録された 614 例中 528 例が適格であった.そのうち評価しえたのは 404 例(適格例の 77%)で,216 例(53%)に新生児低血糖症(血糖値 47 mg/dL 未満)を認めた.主要転帰は感覚神経障害と処理困難とし,処理困難は,平均から 1.5 SD を超える実行機能スコアまたは運動コヒーレンス閾値と定義した.低血糖症は,血糖値を 47 mg/dL 以上に維持する治療を行った場合,感覚神経障害のリスクの増加と関連することはなく(リスク比 0.95,95%信頼区間 [CI] 0.75~1.20,P=0.67),処理困難のリスクの増加と関連することもなかった(リスク比 0.92,95% CI 0.56~1.51,P=0.74).低血糖症と判定されなかった児(間質液中のグルコース濃度のみが低値)においても,リスクの増加は認められなかった.最低血糖値,低血糖状態と低血糖イベントの発生数,間質液中のグルコース濃度の負の増加(間質液中のグルコース濃度曲線より上で,47 mg/dL より下の面積)も,転帰を予測するものではなかった.
このコホートでは,新生児低血糖症は,血糖値を 47 mg/dL 以上に維持する治療を行った場合,有害な神経学的転帰との関連は認められなかった.(ユニス・ケネディ・シュライバー米国国立小児保健・人間発達研究所ほかから研究助成を受けた)