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October 15, 2015 Vol. 373 No. 16

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大腸腺腫予防のためのカルシウムとビタミン D の試験
A Trial of Calcium and Vitamin D for the Prevention of Colorectal Adenomas

J.A. Baron and Others

背景

ビタミン D の摂取量・血清中濃度がより高いこと,カルシウムの摂取量がより高いことで,大腸腫瘍のリスクが低下することが疫学データ,前臨床データから示唆されている.これらの栄養素による化学予防の可能性をさらに検討するために,大腸腺腫の予防を目的としたビタミン D,カルシウム,またはその両方の摂取について,無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った.

方 法

大腸腺腫の最近の既往があり,全大腸内視鏡検査後,遺残ポリープの確認されていない患者を登録した.部分的 2×2 要因デザインを用いて,2,259 例を,ビタミン D3 1,000 IU/日を摂取する群,カルシウム(炭酸塩)1,200 mg/日を摂取する群,両方を摂取する群,いずれも摂取しない(プラセボ)群に無作為に割り付けた.女性患者は,カルシウムとビタミン D の併用群またはカルシウム単独群への無作為割付けを選択することができた.追跡大腸内視鏡検査は,内視鏡医の推奨に従い,ベースライン検査後 3 年または 5 年の時点で行う予定とした.主要評価項目は,無作為化以降,予定されたサーベイランス大腸内視鏡検査までの期間に診断される腺腫とした.

結 果

ビタミン D 群に無作為に割り付けられた患者において,プラセボ群の患者との比較における血清 25-ヒドロキシビタミン D 濃度の平均純増加は 7.83 ng/mL であった.全体では,患者の 43%が追跡期間中に 1 つ以上の腺腫の診断を受けた.腺腫の再発の補正リスク比は,ビタミン D 群とビタミン D なし群との比較で 0.99(95%信頼区間 [CI] 0.89~1.09),カルシウム群とカルシウムなし群との比較で 0.95(95% CI 0.85~1.06),併用群とプラセボ群との比較で 0.93(95% CI 0.80~1.08)であった.進行腺腫についての結果も同様であった.重篤な有害事象はほとんど認められなかった.

結 論

大腸腺腫切除後にビタミン D3 1,000 IU/日,カルシウム 1,200 mg/日,またはそれらの両方を摂取しても,3~5 年間の大腸腺腫の再発リスクは有意には低下しなかった.(米国国立がん研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00153816)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 1519 - 30. )