The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

November 19, 2015 Vol. 373 No. 21

RTS,S/AS01 マラリアワクチンの遺伝的多様性と感染防御効果
Genetic Diversity and Protective Efficacy of the RTS,S/AS01 Malaria Vaccine

D.E. Neafsey and Others

背景

RTS,S/AS01 は熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)のスポロゾイト周囲蛋白を標的とするワクチンで,乳児・小児の臨床的マラリア・重症マラリアに対して部分的な感染防御効果を有する.われわれはこのワクチンの有効性が,原虫のスポロゾイト周囲蛋白遺伝子座の特定の遺伝型に特異的なものであるかどうかを検討した.

方 法

ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法に基づく次世代シーケンシングを用いて,4,985 例のサンプルから抽出された DNA のスポロゾイト周囲蛋白遺伝子多型を調査した.スポロゾイト周囲蛋白の多型部位とハプロタイプ領域が,ワクチン接種後 1 年以内の臨床的マラリアの初回エピソードに対するワクチンの有効性に及ぼす影響を評価した.

結 果

生後 5~17 ヵ月で RTS,S/AS01 ワクチンを接種した 4,577 例と対照ワクチンを接種した 2,335 例から成る per-protocol 集団において,ワクチンの 1 年累積有効率はスポロゾイト周囲蛋白 C 末端全体がワクチンに一致する原虫による臨床的マラリア感染(139 症例)に対して 50.3%(95%信頼区間 [CI] 34.6~62.3)であったのに対し,一致しない原虫によるマラリア感染(1,951 症例)に対しては33.4%(95% CI 29.3~37.2)であった(ワクチンの有効性の差についてP=0.04).ハザード比に基づくワクチンの有効率は,一致する感染に対しては 62.7%(95% CI 51.6~71.3)であったのに対し,一致しない感染に対しては 54.2%(95% CI 49.9~58.1)であった(P=0.06).生後6~12 週の乳児集団では,アレル特異的なワクチンの有効性の差を示すエビデンスは認められなかった.

結 論

今回の結果から,生後 5~17 ヵ月の児において,RTS,S/AS01 ワクチンはスポロゾイト周囲蛋白のアレルが一致するマラリア原虫に対して,一致しないマラリア原虫に対してよりも有効性が高いことが示唆された.この年齢層における全体的なワクチンの有効性はその地域の原虫集団におけるワクチン一致アレルの割合に依存すると考えられ,この試験では,アレルが一致する原虫は 10%未満であった.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 2025 - 37. )