The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

November 19, 2015 Vol. 373 No. 21

大動脈生体弁における無症候性弁尖血栓症の可能性
Possible Subclinical Leaflet Thrombosis in Bioprosthetic Aortic Valves

R.R. Makkar and Others

背景

継続中の臨床試験で,経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)を受けた後に脳卒中を発症した患者において,CT により大動脈弁尖の動きに低下が認められた.この所見により,無症候性弁尖血栓症の可能性が懸念され,さらなる検討が進められた.

方 法

TAVR に関する 1 件の臨床試験の患者 55 例と,2 つの単一施設登録の TAVR または大動脈生体弁置換術のいずれかを受ける患者 132 例を含むデータを分析した.四次元ボリュームレンダリング CT 画像と,抗凝固薬療法および臨床転帰(脳卒中および一過性脳虚血発作 [TIA] など)に関するデータを得た.

結 果

臨床試験の 55 例中 22 例(40%)と 2 つの登録の 132 例中17 例(13%)で,CT 上で弁尖の動きの低下が認められた.弁尖の動きの低下は,経カテーテル的に移植するタイプや外科的に移植するタイプなど,複数の種類の生体弁で認められた.ワルファリンによる抗凝固薬療法は,抗血小板薬 2 剤併用療法と比較して,弁尖の動きの低下の発生率が低いことに関連していた(臨床試験ではそれぞれ 0%と 55%,P=0.01,2 つの登録の統合ではそれぞれ 0%と 29%,P=0.04).追跡 CT 検査により再評価を受けた患者では,抗凝固薬療法を受けていた 11 例全例と,抗凝固薬療法を受けていなかった 10 例中 1 例で弁尖の動きの回復が認められた(P<0.001).脳卒中または TIA の発生率には,臨床試験で弁尖の動きの低下を認めた患者と弁尖の動きが正常であった患者とのあいだで有意差はみられなかったが(それぞれ 22 例中 2 例と 33 例中 0 例,P=0.16),2 つの登録の統合では有意差がみられた(それぞれ 17 例中 3 例と 115 例中 1 例,P=0.007).

結 論

大動脈生体弁を移植した患者で大動脈弁尖の動きの低下が認められた.この状態は抗凝固薬療法により消失した.この所見が脳卒中などの臨床転帰に及ぼす影響については,さらなる検討が必要である.(St. Jude Medical 社,Cedars–Sinai Heart Institute から研究助成を受けた.PORTICO IDE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02000115,SAVORY 登録:NCT02426307,RESOLVE 登録:NCT02318342)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 2015 - 24. )