The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

December 17, 2015 Vol. 373 No. 25

外傷性脳損傷後の頭蓋内圧亢進に対する低体温療法
Hypothermia for Intracranial Hypertension after Traumatic Brain Injury

P.J.D. Andrews and Others

背景

外傷性脳損傷患者の頭蓋内圧亢進は,低体温療法によって抑制することが可能である.低体温療法の機能的転帰への利益は明らかにされていない.

方 法

第 1 段階の治療(人工呼吸管理,鎮静管理など)を行っても頭蓋内圧が 20 mmHg を超えている成人患者を,標準治療を行う群(対照群)と,低体温療法(32~35℃)+標準治療を行う群に無作為に割り付けた.対照群では,頭蓋内圧をコントロールするために必要な場合に第 2 段階の治療(浸透圧療法など)を追加で行った.低体温群では,低体温療法で頭蓋内圧がコントロールされない場合にのみ,第 2 段階の治療を追加で行った.両群ともに,第 2 段階の治療をすべて行っても頭蓋内圧がコントロールされない場合に第 3 段階の治療(バルビツール酸系薬と減圧開頭術)を行った.主要評価項目は,6 ヵ月の時点での拡張グラスゴー転帰尺度(GOS-E)のスコア(1~8 で,スコアが低いほど機能的転帰が不良であることを示す)とした.治療効果は,事前に規定した予後因子で補正した順序ロジスティック回帰により推定し,共通オッズ比として表した(オッズ比<1.0 で低体温療法の優越性が示される).

結 果

2009 年 11 月から,安全性への懸念により募集が中止された 2014 年 10 月までに,18 ヵ国 47 施設で 387 例が登録された.頭蓋内圧をコントロールするために第 3 段階の治療を要した患者の割合は,対照群 54%,低体温群 44%であった.GOS-E スコアの補正後の共通オッズ比は 1.53(95%信頼区間 1.02~2.30,P=0.04)であり,転帰は低体温群のほうが対照群よりも不良であることが示された.良好な転帰(GOS-E スコア 5~8 で,中等度の障害または良好な回復を示す)が認められた患者の割合は,低体温群 26%,対照群 37%であった(P=0.03).

結 論

外傷性脳損傷後に頭蓋内圧が 20 mmHg を超えている患者に,頭蓋内圧を低下させるために低体温療法+標準治療を行っても,標準治療のみを行った場合と比較して転帰は改善しなかった.(英国国立健康研究所医療技術評価プログラムから研究助成を受けた.Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN34555414)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 2403 - 12. )