The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

December 17, 2015 Vol. 373 No. 25

経カテーテル大動脈弁置換術の利用可能性が臨床診療に及ぼす影響
Effect of Availability of Transcatheter Aortic-Valve Replacement on Clinical Practice

J. Reinöhl and Others

背景

経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)が導入されてから,その臨床診療に対する影響は,現在標準治療と考えられている外科的大動脈弁置換術と比較してどうかという疑問が提起されている.完全な全国データは,新しい技術の導入がこれまでの臨床基準にどのような影響を及ぼすかを検討するにあたって有用である.

方 法

ドイツで,2007~13 年に単独で実施されたすべての TAVR および外科的大動脈弁置換術について,患者背景と院内転帰に関するデータを解析した.

結 果

全体で,TAVR は 32,581 件,外科的大動脈弁置換術は 55,992 件実施された.TAVR の件数は,2007 年には 144 件であったが,2013 年には 9,147 件に増加した.一方,外科的大動脈弁置換術の件数は 8,622 件から 7,048 件へとわずかに減少した.TAVR を受けた患者は外科的大動脈弁置換術を受けた患者よりも年齢が高く(年齢の平均 [±SD] 81.0±6.1 歳 対 70.2±10.0 歳),術前リスクが高かった(推定ロジスティック EuroSCORE [欧州心臓手術リスク評価システム] 22.4% 対 6.3% [0~100%の評価尺度でスコアが高いほどリスクが高く,スコア 20%以上で手術リスクが高いことを示す]).院内死亡率は両群とも 2007 年から 2013 年にかけて低下した(TAVR 群では 13.2%から 5.4%へと低下し,外科的大動脈弁置換術群では 3.8%から 2.2%へと低下).脳卒中,出血,ペースメーカー植込みの発生率も低下した(急性腎障害は該当せず).

結 論

ドイツでは,TAVR の施行は 2007 年から 2013 年にかけて大幅に増加したが,それに伴う外科的大動脈弁置換術の減少はわずかであった.TAVR を受けた患者は外科的大動脈弁置換術を受けた患者よりも年齢が高く,手術リスクが高かった.院内死亡率は両群とも低下したが,TAVR 群のほうが低下が大きかった.(フライブルク大学心臓センターから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 2438 - 47. )