March 31, 2016 Vol. 374 No. 13
ライム病に起因する症状に対するより長期の治療の無作為化試験
Randomized Trial of Longer-Term Therapy for Symptoms Attributed to Lyme Disease
A. Berende and Others
ライム病に起因する症状が持続している場合の治療については議論が続いている.われわれは,抗菌薬治療をより長期間行うことで,より短期間行う場合と比較して良好な転帰が得られるかどうかを検討した.
欧州で無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行い,ライム病に起因する症状が持続している(以前に確定されたライム病と時間的に関連すると考えられるか, 免疫ブロット法で Borrelia burgdorferi IgG または IgM 陽性)患者を,ドキシサイクリン群,クラリスロマイシン+ヒドロキシクロロキン群,プラセボ群のいずれかに割り付け,12 週間経口投与した.いずれの群にも,レジメンを開始する前に,非盲検下でセフトリアキソンを 2 週間静脈内投与した.主要評価項目は,14 週間の治療期間,すなわち 2 週間のセフトリアキソンの投与と 12 週間の試験薬またはプラセボの投与が終了した時点での健康関連 QOL とし,RAND 36 項目健康調査(RAND SF-36)の身体的健康度のサマリースコア(15~61 で,スコアが高いほど QOL が高いことを示す)を用いて評価した.
無作為化された 281 例のうち,修正 intention-to-treat 解析の対象は 280 例(ドキシサイクリン群 86 例,クラリスロマイシン+ヒドロキシクロロキン群 96 例,プラセボ群 98 例)であった.治療期間終了時点で,SF-36 の身体的健康度のサマリースコアに 3 群で有意差は認められず,平均スコアは,ドキシサイクリン群 35.0(95%信頼区間 [CI] 33.5~36.5),クラリスロマイシン+ヒドロキシクロロキン群 35.6(95% CI 34.2~37.1),プラセボ群 34.8(95% CI 33.4~36.2)であった(P=0.69,ドキシサイクリン群とプラセボ群との差 0.2 [95% CI -2.4~2.8],クラリスロマイシン+ヒドロキシクロロキン群とプラセボ群との差 0.9 [95% CI -1.6~3.3]).また,追跡期間中の受診時にも有意差は認められなかった(P=0.35).いずれの群も,SF-36 の身体的健康度のサマリースコアはベースライン時から治療期間終了時までに有意に上昇した(P<0.001).有害事象の発現率は 3 群で同程度であった.薬剤使用に関連すると考えられる重篤な有害事象は 2 週間の非盲検下でのセフトリアキソン投与期間中に 4 件発現したが,12 週間の試験薬投与期間中には認められなかった.
ライム病に起因する症状が持続している患者に対する長期の抗菌薬治療には,健康関連 QOL に関して短期の抗菌薬治療を上回る有益な効果は認められなかった.(オランダ健康研究開発機構 ZonMw から研究助成を受けた.PLEASE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01207739)