The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

October 6, 2016 Vol. 375 No. 14

オハイオ州の予防接種が不十分なアーミッシュ社会における麻疹の集団発生
A Measles Outbreak in an Underimmunized Amish Community in Ohio

P.A. Gastañaduy and Others

背景

米国では麻疹は 2000 年に根絶されたが,国外からウイルスが入ってくるため集団発生が続いている.ワクチン未接種のアーミッシュの男性で,フィリピンから米国への帰国時に麻疹ウイルスが潜伏していた 2 例を発端とする麻疹の集団発生の疫学的特徴を報告し,公衆衛生対応が麻疹拡大の抑制にどの程度効果があったかを調査する.

方 法

人口統計学的特性,臨床的評価と検査による評価,ワクチン接種率に関するデータの記述的解析を行った.

結 果

2014 年 3 月 24 日~7 月 23 日に,オハイオ州の 9 つの郡で麻疹の集団発生に関連する症例 383 例が報告された.患者の年齢の中央値は 15 歳(1 歳未満~53 歳)であり,178 例(46%)が女性,340 例(89%)がワクチン未接種であった.伝播は主に家庭内で起きていた(症例の 68%).ウイルス株の遺伝子型は D9 型で,報告当時フィリピンで流行しているものであった.麻疹・流行性耳下腺炎・風疹(MMR)ワクチンの 1 回以上の接種率は,感染したアーミッシュの家庭では推定で 14%,オハイオ州の一般(非アーミッシュ)家庭では 88%であった.封じ込めのための措置として,患者の隔離,感染しやすい人の自宅待機・追跡,10,000 人超への MMR ワクチン接種などが行われた.麻疹の拡大はアーミッシュ社会にほぼ限定され(患者の 99%),感染率は推定 32,630 人のアーミッシュ人口の約 1%にとどまった.

結 論

オハイオ州のアーミッシュ社会における麻疹の集団発生の重要な疫学的特徴は,主に家庭内伝播であったこと,感染者はアーミッシュのなかでも少数であったこと,アーミッシュ社会でワクチンを接種しようとした人は多数いたことである.標的を絞った封じ込め措置と,一般社会集団でのベースラインのワクチン接種率が高かったことにより,アーミッシュ社会外への感染拡大は限定的であった.(オハイオ州保健局と米国疾病管理予防センターから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 1343 - 54. )