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July 21, 2016 Vol. 375 No. 3

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アロマターゼ阻害薬による補助療法を 10 年間に延長する
Extending Aromatase-Inhibitor Adjuvant Therapy to 10 Years

P.E. Goss and Others

背景

閉経後ホルモン受容体陽性早期乳癌には,初回単剤治療,あるいはタモキシフェン治療後の切替え治療として,5 年間のアロマターゼ阻害薬治療が選択される.治療期間を 10 年間に延長することで,乳癌の再発リスクがさらに低下する可能性がある.

方 法

二重盲検プラセボ対照試験において,レトロゾール治療を 5 年間延長することの効果を評価した.主要エンドポイントは無病生存とした.

結 果

1,918 例を登録した.追跡期間中央値 6.3 年の時点で,乳癌の再発または対側乳癌の発生は 165 件(レトロゾール群 67 件,プラセボ群 98 件)あり,200 例(各群 100 例)が死亡した.5 年無病生存率は,レトロゾール群で 95%(95%信頼区間 [CI] 93~96),プラセボ群で 91%(95% CI 89~93)であった(乳癌再発または対側乳癌発生のハザード比 0.66;リンパ節転移状況,術後補助化学療法歴,アロマターゼ阻害薬の最終投与からの期間,タモキシフェン投与期間による層別 log-rank 検定で両側 P=0.01).5 年全生存率は,レトロゾール群で 93%(95% CI 92~95),プラセボ群で 94%(95% CI 92~95)であった(ハザード比 0.97,P=0.83).対側乳癌の年間発生率は,レトロゾール群で 0.21%(95% CI 0.10~0.32),プラセボ群で 0.49%(95% CI 0.32~0.67)であった(ハザード比 0.42,P=0.007).骨痛,骨折,新規発症の骨粗鬆症などの骨関連毒性の頻度は,レトロゾール群のほうがプラセボ群よりも高かった.QOL の下位尺度スコアの大部分に,レトロゾール群とプラセボ群とのあいだで有意差は認められなかった.

結 論

アロマターゼ阻害薬による術後補助化学療法期間を 10 年間に延長した群では,プラセボ群と比較して,無病生存率が有意に高く,対側乳癌発生率が低かったが,全生存率は高くなかった.(カナダがん協会ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00003140,NCT00754845)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 209 - 19. )