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July 7, 2016 Vol. 375 No. 1

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急性期脳梗塞または一過性脳虚血発作に対するチカグレロルとアスピリンとの比較
Ticagrelor versus Aspirin in Acute Stroke or Transient Ischemic Attack

S.C. Johnston and Others

背景

急性期脳虚血患者の脳卒中再発と心血管イベントの予防において,抗血小板薬チカグレロル(ticagrelor)は,アスピリンよりも有用である可能性がある.

方 法

33 ヵ国 674 施設で国際共同二重盲検比較試験を行った.非重症脳梗塞患者または高リスクの一過性脳虚血発作(TIA)を起こした患者で,静脈内または動脈内血栓溶解療法による治療歴がなく,心原性の脳梗塞ではないと考えられた 13,199 例を,発症後 24 時間以内に,チカグレロル群(1 日目に負荷用量 180 mg を投与,2~90 日目に 90 mg を 1 日 2 回投与)とアスピリン群(1 日目に負荷用量 300 mg を投与,2~90 日目に 100 mg を 1 日 1 回投与)に,1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,90 日以内に脳卒中,心筋梗塞,死亡のいずれかが発生するまでの時間とした.

結 果

90 日間の治療期間中に,主要エンドポイントイベントは,チカグレロルを投与した 6,589 例では 442 例(6.7%)に発生したのに対し,アスピリンを投与した 6,610 例では 497 例(7.5%)に発生した(ハザード比 0.89,95%信頼区間 [CI] 0.78~1.01,P=0.07).脳梗塞は,チカグレロルを投与した例の 385 例(5.8%),アスピリンを投与した例の 441 例(6.7%)に発生した(ハザード比 0.87,95% CI 0.76~1.00).重大な出血は,チカグレロル群の 0.5%,アスピリン群の 0.6%で発生し,頭蓋内出血はそれぞれ 0.2%と 0.3%,致死的出血は両群とも 0.1%で発生した.

結 論

急性期脳梗塞または TIA の患者を対象とした試験で,チカグレロルには,90 日の時点での脳卒中,心筋梗塞,死亡の発生率の低下に関して,アスピリンに対する優越性は認められなかった.(AstraZeneca 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01994720)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 35 - 43. )