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August 25, 2016 Vol. 375 No. 8

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早期乳癌に対する治療決定の補助となる 70 遺伝子シグネチャー
70-Gene Signature as an Aid to Treatment Decisions in Early-Stage Breast Cancer

F. Cardoso and Others

背景

70 遺伝子シグネチャー解析(MammaPrint)によって,早期乳癌女性の臨床転帰の予測が改善することが示されている.前向き試験で,補助化学療法の対象患者を選択する際の標準的な臨床病理学的基準に,70 遺伝子シグネチャーを追加することの臨床的有用性を検討した.

方 法

第 3 相無作為化試験に早期乳癌女性 6,693 例を登録し,ゲノムリスク(70 遺伝子シグネチャーに基づく)と臨床リスク(修正版 Adjuvant! Online に基づく)を決定した.臨床リスクとゲノムリスクが低い例には補助化学療法を行わず,両リスクが高い例には行った.ゲノムリスクと臨床リスクの結果が一致しない例は,いずれかのリスクに基づいて化学療法を行うかどうかを決定した.主要目標は,臨床的特徴に基づくリスクは高いが,遺伝子発現プロファイルに基づくリスクが低く化学療法を行わなかった例で,5 年無遠隔転移生存率の 95%信頼区間の下限が 92%(非劣性マージン)以上であるかどうかを評価することであった.

結 果

臨床リスクが高く,ゲノムリスクが低いと判定された例は 1,550 例(23.2%)であった.この集団の 5 年無遠隔転移生存率は,化学療法を受けなかった例で 94.7%(95%信頼区間 92.5~96.2)であった.化学療法を受けなかった例と受けた例の 5 年無遠隔転移生存率の絶対差は 1.5 パーセントポイントであり,化学療法を受けなかった例のほうが低かった.エストロゲン受容体陽性,ヒト上皮増殖因子受容体 2 陰性,リンパ節転移陰性・陽性の患者サブグループの無遠隔転移生存率も同様であった.

結 論

早期乳癌女性で再発の臨床リスクが高くゲノムリスクが低い例では,70 遺伝子シグネチャーに基づき化学療法を受けなかった場合の 5 年無遠隔転移生存率は,化学療法を受けた場合よりも 1.5 パーセントポイント低かった.これらの知見から,臨床リスクの高い乳癌女性の約 46%は化学療法が必要でない可能性がある.(欧州委員会第 6 次フレームワークプログラムほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00433589,EudraCT 登録番号 2005-002625-31)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 717 - 29. )