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August 25, 2016 Vol. 375 No. 8

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本態性振戦に対する集束超音波視床破壊術の無作為化試験
A Randomized Trial of Focused Ultrasound Thalamotomy for Essential Tremor

W.J. Elias and Others

背景

対照群を設定しない予備試験により,本態性振戦に対する MRI ガイド下集束超音波視床破壊術の有効性が示唆されている.

方 法

薬物療法の少なくとも 2 件の試験で効果が認められなかった,中等症~重症の本態性振戦患者を登録し,片側集束超音波視床破壊術を行う群と偽処置を行う群に 3:1 の割合で無作為に割り付けた.振戦の臨床的評価尺度(CRST)と本態性振戦 QOL 質問票(QUEST)を用いて,ベースラインおよび 1,3,6,12 ヵ月の時点で振戦を評価した.振戦の評価は録画され,治療割付けを知らない独立した神経科医のグループが解析した.主要評価項目は,ベースラインから 3 ヵ月後までの手の振戦の変化における群間差とし,振戦は 32 ポイントの尺度(スコアが高いほど振戦の重症度が高いことを示す)で評価した.偽処置群の患者は,3 ヵ月後に実治療(非盲検拡張コホート)へクロスオーバーできることとした.

結 果

解析対象は 76 例であった.手の振戦スコアの改善は,集束超音波視床破壊術後(ベースラインの 18.1 ポイントから 3 ヵ月後は 9.6 ポイント)のほうが,偽処置後(16.0 ポイントから 15.8 ポイント)よりも大きかった.変化の平均の群間差は 8.3 ポイント(95%信頼区間 [CI] 5.9~10.7)であった(P<0.001).視床破壊術群の改善は,12 ヵ月後の時点でも維持されていた(ベースラインからの変化は 7.2 ポイント,95% CI 6.1~8.3).身体障害,QOL などの副次的評価項目も,実治療(盲検化視床破壊術コホート)では,偽処置と比較して改善した(両比較とも P<0.001).視床破壊術群で発現した有害事象には歩行障害 36%,感覚異常・無感覚 38%があり,12 ヵ月後の時点ではそれぞれ 9%と 14%で存続していた.

結 論

MRI ガイド下集束超音波視床破壊術によって,本態性振戦患者の手の振戦が軽減した.副作用は感覚障害,歩行障害などであった.(InSightec 社ほかから研究助成を受けた. ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01827904)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 730 - 9. )