50 歳以上の成人における遺伝子組換えインフルエンザワクチンの有効性
Efficacy of Recombinant Influenza Vaccine in Adults 50 Years of Age or Older
L.M. Dunkle and Others
インフルエンザの季節性の流行を制御するにはワクチンの改良が必要である.この試験では,2014~15 年のインフルエンザ流行期に,高年成人を対象に遺伝子組換え 4 価インフルエンザワクチン(RIV4)と標準用量の鶏卵培養 4 価不活化インフルエンザワクチン(IIV4)の防御効果を比較した.この期間の流行はインフルエンザ A/H3N2 型が主流であり,ワクチン株との抗原性の不一致によって多くの認可ワクチンの有効性が低下した.
50 歳以上の成人を対象とした RIV4(1 株あたりの遺伝子組換え赤血球凝集素 [HA] 45μg,1 接種あたりの蛋白 180μg)と標準用量の IIV4(1 株あたりの HA 15μg,1 接種あたりの蛋白 60μg)の多施設共同無作為化二重盲検試験で,ワクチン接種後 14 日目以降に発症し,逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法で確認された,プロトコールに規定されているすべてのインフルエンザ株によるインフルエンザ様疾患に対する,相対的なワクチン有効性を検討した.インフルエンザ感染の確定診断には,インフルエンザ様疾患の症状がみられる被験者から採取した鼻咽頭スワブの RT-PCR と培養検査を用いた.主要エンドポイントは,ワクチン接種後 14 日目からインフルエンザ流行期が終わるまでに RT-PCR で確認された,プロトコールに規定されているインフルエンザ様疾患とした.
9,003 例を登録し,無作為化した.8,855 例(98.4%)に試験ワクチンを接種し,有効性を追跡し(修正 intention-to-treat 集団),8,604 例(95.6%)が per-protocol 解析の追跡を完了した(修正 per-protocol 集団).RIV4 群では,RT-PCR で確認されたインフルエンザ発病率は,修正 per-protocol 集団で 2.2%(4,303 例中 96 例),修正 intention-to-treat 集団で 2.2%(4,427 例中 96 例)であった.IIV4 群での発病率は,修正 per-protocol 集団で 3.2%(4,301 例中 138 例),修正 intention-to-treat 集団で 3.1%(4,428 例中 138 例)であった.検出されたインフルエンザは A/H3N2 型が 181 例,B 型が 47 例,A 亜型不明が 6 例であった.インフルエンザ様疾患が確認された確率は,RIV4 が IIV4 より 30%低く(95%信頼区間 10~47,P=0.006),RIV4 の IIV4 に対する非劣性を検証する主要解析,および優越性を検証する探索的解析の事前に規定した基準を満たした.両ワクチンの安全性プロファイルは類似していた.
高年成人で確認されたインフルエンザ様疾患に対して,RIV4 は標準用量の IIV4 よりも優れた防御能を示した.(Protein Sciences 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02285998)