The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

June 29, 2017 Vol. 376 No. 26

うつ病に対する直流電気刺激療法とエスシタロプラムとの比較試験
Trial of Electrical Direct-Current Therapy versus Escitalopram for Depression

A.R. Brunoni and Others

背景

うつ病の治療における経頭蓋直流電気刺激(tDCS)と選択的セロトニン再取込み阻害薬とを比較した.

方 法

単一施設二重盲検非劣性試験で,単極性うつ病の成人患者を,tDCS+経口プラセボ群,偽 tDCS+エスシタロプラム群,偽 tDCS+経口プラセボ群に無作為に割り付けた.tDCS は,前頭前野に 2 mA の刺激を 1 日に 30 分間,平日に連続 15 日間行い,その後は週に 1 回,7 週間行った.エスシタロプラムは,10 mg/日を 3 週間投与し,その後 20 mg/日を投与した.主要評価項目は,17 項目のハミルトンうつ病評価尺度(HDRS-17)スコア(0~52 で,スコアが高いほどうつ病が重度であることを示す)の変化とした.tDCS のエスシタロプラムに対する非劣性は,スコア低下量の差の信頼区間の下限が,プラセボ群とエスシタロプラム群の差の 50%以上で示されることとした.

結 果

245 例が無作為化され,91 例がエスシタロプラム群,94 例が tDCS 群,60 例がプラセボ群に割り付けられた.intention-to-treat 解析で,ベースラインからのスコア低下量の平均(±SD)はエスシタロプラム群 11.3±6.5 点,tDCS 群 9.0±7.1 点,プラセボ群 5.8±7.9 点であった.tDCS 群のエスシタロプラム群と比較したスコア低下量の差(-2.3 点,95%信頼区間 [CI] -4.3~-0.4,P=0.69)の信頼区間の下限が,非劣性マージンの -2.75(プラセボ群とエスシタロプラム群の差の 50%)よりも低かったことから,非劣性は示されなかった.エスシタロプラム群と tDCS 群はいずれも,プラセボ群に対する優越性を示した(プラセボ群との差はそれぞれ 5.5 点 [95% CI 3.1~7.8,P<0.001],3.2 点 [95% CI 0.7~5.5,P=0.01]).tDCS 群では,皮膚の発赤,耳鳴,神経過敏の発現率が他の 2 群よりも高く,2 例が躁病を新規発症した.エスシタロプラム群では,眠気と便秘が他の 2 群よりも多く認められた.

結 論

単一施設試験で,うつ病の治療としての tDCS に,10 週の期間ではエスシタロプラムに対する非劣性は示されなかった.tDCS は有害事象がより多いことに関連した.(サンパウロ州研究財団ほかから研究助成を受けた.ELECT-TDCS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01894815)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 2523 - 33. )