February 2, 2017 Vol. 376 No. 5
進行した心不全に対する心膜内左心補助人工心臓
Intrapericardial Left Ventricular Assist Device for Advanced Heart Failure
J.G. Rogers and Others
左心補助人工心臓(LVAD)による機械的循環補助は,進行した心不全患者に対する確立した治療法である.われわれは,心臓移植の適応がない進行した心不全患者において,新しい LVAD デザイン(小型の心膜内遠心ポンプ)と既存のデザイン(市販の軸流ポンプ)とを比較した.
446 例を対象とした多施設共同無作為化試験において,患者を,試験デバイス(遠心ポンプ)群と対照デバイス(軸流ポンプ)群に 2:1 の割合で割り付けた.適格基準は,永久使用目的での LVAD 植込み適応基準を満たす成人とした.主要エンドポイントは,2 年の時点における障害をもたらす脳卒中または不具合によるデバイス抜去のない状態での生存とした.試験は,15 パーセントポイントのマージンで非劣性を示すよう検出力を設定した.
intention-to-treat 集団の内訳は,試験デバイス群 297 例,対照デバイス群 148 例であった.主要エンドポイントは,試験群の 164 例と対照群の 85 例で達成された.主要エンドポイントの解析から,試験デバイスの対照デバイスに対する非劣性が示された(Weibull モデルで算出された推定成功率はそれぞれ 55.4%と 59.1%,絶対差 3.7 パーセントポイント,95%上側信頼限界 12.56 パーセントポイント,非劣性の P=0.01).交換を必要とするデバイスの不具合があった患者は対照群のほうが試験群よりも多く(16.2% 対 8.8%),脳卒中は試験群のほうが多かった(29.7% 対 12.1%).QOL と機能的能力の改善は 2 群で同程度であった.
心臓移植の適応がない進行した心不全患者を対象としたこの試験では,障害をもたらす脳卒中または不具合によるデバイス抜去のない状態での生存に関して,小型の心膜内遠心ポンプ LVAD が軸流ポンプ LVAD に対して非劣性であることが認められた.(HeartWare 社から研究助成を受けた.ENDURANCE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01166347)