慢性骨髄性白血病に対するイマチニブ投与の長期転帰
Long-Term Outcomes of Imatinib Treatment for Chronic Myeloid Leukemia
A. Hochhaus and Others
選択的 BCR-ABL1 キナーゼ阻害薬であるイマチニブにより,慢性骨髄性白血病(CML)患者の予後が改善した.初期治療としてイマチニブ投与を受けた CML 患者の 10 年を超える追跡調査に基づき,有効性と安全性を解析した.
クロスオーバーデザインの非盲検多施設共同試験で,新たに慢性期 CML と診断された患者を,イマチニブを投与する群またはインターフェロンαとシタラビンを併用投与する群に無作為に割り付けた.長期解析の評価項目は,全生存,治療効果,重篤な有害事象などとした.
追跡期間中央値は 10.9 年であった.無作為化時にインターフェロンα+シタラビン群に割り付けられた患者ではクロスオーバー率が高く(65.6%),クロスオーバー前の治療期間が短かった(中央値 0.8 年)ことから,今回の解析では,無作為化時にイマチニブ群に割り付けられた患者に焦点を合わせた.イマチニブ群患者では,10 年全生存率は 83.3%と推定された.無作為化時にイマチニブ群に割り付けられた患者の約半数(48.3%)がイマチニブの試験投与を完了し,82.8%で細胞遺伝学的完全寛解が得られた.試験責任医師がイマチニブに関連すると判定した重篤な有害事象の頻度は低く,そのなかでももっとも多く発現したのは投与開始後 1 年間であった.
約 11 年間の追跡調査により,イマチニブの有効性は長期間持続することと,イマチニブの長期投与による忍容できない蓄積毒性や遅発性毒性はみられないことが示された.(Novartis Pharmaceuticals 社から研究助成を受けた.IRIS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00006343,NCT00333840)