October 19, 2017 Vol. 377 No. 16
TNF 阻害薬の効果が不十分な乾癬性関節炎患者に対するトファシチニブ
Tofacitinib for Psoriatic Arthritis in Patients with an Inadequate Response to TNF Inhibitors
D. Gladman and Others
トファシチニブは,乾癬性関節炎の治療薬として検討されている経口ヤヌスキナーゼ阻害薬である.腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬の効果が不十分であったコントロール不良の乾癬性関節炎患者を対象に,トファシチニブを評価した.
6 ヵ月間の無作為化プラセボ対照二重盲検第 3 相試験で,395 例を,2:2:1:1 の割合で,トファシチニブ 5 mg を 1 日 2 回経口投与する群(132 例),トファシチニブ 10 mg を 1 日 2 回投与する群(132 例),プラセボを投与し 3 ヵ月の時点でトファシチニブ 5 mg の 1 日 2 回投与に切り替える群(66 例),プラセボを投与し 3 ヵ月の時点でトファシチニブ 10 mg の 1 日 2 回投与に切り替える群(65 例)に無作為に割り付けた.試験開始後 3 ヵ月間プラセボを投与された患者のデータを統合した.3 ヵ月の時点における解析で,米国リウマチ学会基準による 20%以上の改善(ACR20 改善)を達成した患者の割合と,健康評価質問票の機能障害指数(HAQ-DI)のスコア(0~3 で,高いほど障害が重度であることを示す)のベースラインからの変化を主要エンドポイントとした.
3 ヵ月の時点での ACR20 改善率は,トファシチニブ 5 mg 群で 50%,トファシチニブ 10 mg 群で 47%であったのに対し,プラセボ群では 24%であり(いずれの比較も P<0.001),これに伴う HAQ-DI スコアのベースラインからの変化の平均はトファシチニブ 5 mg 群で-0.39,トファシチニブ群 10 mg 群で-0.35 であったのに対し,プラセボ群では -0.14 であった(いずれの比較も P<0.001).トファシチニブ 5 mg を継続投与した患者の 4%とトファシチニブ 10 mg を継続投与した患者の 6%で重篤な有害事象が発現した.6 ヵ月のあいだに,トファシチニブを継続投与した患者では,重篤な感染症が 4 件,帯状疱疹が 3 件,心筋梗塞が 1 件,脳梗塞が 1 件発現した.トファシチニブを継続投与した患者では,プラセボ投与後にトファシチニブを投与した患者と比較して,アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ値とアラニンアミノトランスフェラーゼ値が正常上限値の 3 倍以上に上昇した例が多かった.
TNF 阻害薬の効果が不十分であったコントロール不良の乾癬性関節炎患者を対象としたこの試験では,トファシチニブはプラセボと比較して,3 ヵ月の期間について疾患活動性の低下に有効であった.トファシチニブは,プラセボよりも有害事象の頻度が高かった.(Pfizer 社から研究助成を受けた.OPAL Beyond 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01882439)