October 19, 2017 Vol. 377 No. 16
乾癬性関節炎に対するトファシチニブまたはアダリムマブとプラセボとの比較
Tofacitinib or Adalimumab versus Placebo for Psoriatic Arthritis
P. Mease and Others
トファシチニブは,乾癬性関節炎の治療薬として検討されている経口ヤヌスキナーゼ阻害薬である.従来の合成疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)の効果が不十分であったコントロール不良の乾癬性関節炎患者を対象に,トファシチニブを評価した.
12 ヵ月間の二重盲検実薬対照プラセボ対照第 3 相試験で,患者を,2:2:2:1:1 の割合で,トファシチニブ 5 mg を 1 日 2 回経口投与する群(107 例),トファシチニブ 10 mg を 1 日 2 回経口投与する群(104 例),アダリムマブ 40 mg を 2 週ごとに 1 回皮下投与する群(106 例),プラセボを投与し 3 ヵ月の時点で盲検下でトファシチニブ 5 mg に切り替える群(52 例),プラセボを投与し 3 ヵ月の時点で盲検下でトファシチニブ 10 mg に切り替える群(53 例)に無作為に割り付けた.プラセボを投与した 2 群は,3 ヵ月の時点までの解析のために統合した.3 ヵ月の時点での米国リウマチ学会基準による 20%改善(ACR20 改善;圧痛関節数,腫脹関節数,およびその他の重要な 5 分野のうち 3 分野以上がベースラインから 20%以上改善)を達成した患者の割合,および 3 ヵ月の時点での健康評価質問票の機能障害指数(HAQ-DI)のスコア(0~3 で,高いほど障害が重度であることを示す)のベースラインからの変化を主要エンドポイントとした.
3 ヵ月の時点での ACR20 改善率は,トファシチニブ 5 mg 群で 50%,トファシチニブ 10 mg 群で 61%であったのに対し,プラセボ群では 33%であり(5 mg とプラセボとの比較の P=0.01,10 mg とプラセボとの比較の P<0.001),アダリムマブ群では 52%であった.HAQ-DI スコアの平均変化量は,トファシチニブ 5 mg 群で -0.35,トファシチニブ 10 mg 群で -0.40 であったのに対し,プラセボ群では-0.18(5 mg とプラセボとの比較の P=0.006,10 mg とプラセボとの比較の P<0.001),アダリムマブ群では -0.38 であった.12 ヵ月の時点までの有害事象の発現率は,トファシチニブ 5 mg 群で 66%,トファシチニブ 10 mg 群で 71%,アダリムマブ群で 72%,プラセボからトファシチニブ 5 mg に切り替えた群で 69%,プラセボからトファシチニブ 10 mg に切り替えた群で 64%であった.試験中,トファシチニブ投与患者で癌が 4 件,重篤な感染症が 3 件,帯状疱疹が 4 件発現した.
従来の合成 DMARD の効果が不十分であった乾癬性関節炎患者において,トファシチニブの 3 ヵ月の時点での有効性は,プラセボに対し優越性を示した.トファシチニブは,プラセボよりも有害事象の頻度が高かった.(Pfizer 社から研究助成を受けた.OPAL Broaden 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01877668)