転移性非小細胞肺癌に対するペムブロリズマブと化学療法の併用療法
Pembrolizumab plus Chemotherapy in Metastatic Non–Small-Cell Lung Cancer
L. Gandhi and Others
標的となりうる変異がない進行非小細胞肺癌(NSCLC)に対する一次治療は,白金製剤ベースの化学療法である.腫瘍細胞中のプログラム細胞死リガンド 1(PD-L1)発現細胞の割合が 50%以上の患者では,ペムブロリズマブが細胞毒性化学療法に代わる一次治療の選択肢となった.化学療法にペムブロリズマブを追加することで,化学療法単独と比較して奏効率が有意に上昇し,無増悪生存期間が有意に延長することが第 2 相試験で示されている.
二重盲検第 3 相試験において,活性化 EGFR/ALK 変異陰性転移性非扁平上皮 NSCLC を有し,転移癌に対する治療歴がない患者 616 例を,ペメトレキセドと白金製剤に加えて,ペムブロリズマブ 200 mg またはプラセボの投与に(2:1 の割合で)無作為に割り付け,投与は 3 週ごとに 4 サイクル行い,続いてペムブロリズマブまたはプラセボの投与を合計で最大 35 サイクル行い,ペメトレキセド維持療法を行った.プラセボ併用群で病勢進行が確認された患者は,ペムブロリズマブ単剤療法へのクロスオーバーを可能とした.主要評価項目は全生存期間と無増悪生存期間とし,増悪は独立した中央画像判定機関が評価した.
追跡期間中央値 10.5 ヵ月の時点で,12 ヵ月全生存率の推定値はペムブロリズマブ併用群 69.2%(95%信頼区間 [CI] 64.1~73.8)に対し,プラセボ併用群 49.4%(95% CI 42.1~56.2)であった(死亡のハザード比 0.49,95% CI 0.38~0.64,P<0.001).評価が行われたすべての PD-L1 発現分類で全生存率の改善を認めた.無増悪生存期間の中央値はペムブロリズマブ併用群 8.8 ヵ月(95% CI 7.6~9.2),プラセボ併用群 4.9 ヵ月(95% CI 4.7~5.5)であった(病勢進行または死亡のハザード比 0.52,95% CI 0.43~0.64,P<0.001).グレード 3 以上の有害事象はペムブロリズマブ併用群の 67.2%,プラセボ併用群の 65.8%で発現した.
未治療の EGFR/ALK 変異陰性転移性非扁平上皮 NSCLC 患者において,ペメトレキセドと白金製剤による標準化学療法にペムブロリズマブを追加することで,化学療法単独と比較して全生存期間と無増悪生存期間が有意に延長した.(Merck 社から研究助成を受けた.KEYNOTE-189 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02578680)