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May 31, 2018 Vol. 378 No. 22

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静脈性潰瘍に対する早期血管内焼灼術の無作為化試験
Randomized Trial of Early Endovenous Ablation in Venous Ulceration

M.S. Gohel and Others

背景

静脈疾患は,下腿潰瘍の原因としてもっとも多い.圧迫療法で静脈性潰瘍の治癒は改善されるが,静脈高血圧の根本的原因は治療されない.表在静脈の逆流の治療によって潰瘍の再発率が低下することが示されているが,表在静脈の逆流に対する早期血管内焼灼術が潰瘍の治癒に及ぼす影響は明らかにされていない.

方 法

英国の 20 施設で行われた試験で,静脈性下腿潰瘍患者 450 例を,圧迫療法を行い,無作為化後 2 週間以内の早期に表在静脈逆流に対する血管内焼灼術を施行する群(早期介入群)と,圧迫療法のみを行い,潰瘍の治癒を待ってから,あるいは治癒しない場合は無作為化の 6 ヵ月後に血管内焼灼術を検討する群(待期的介入群)に無作為に割り付けた.潰瘍治癒までの期間を主要評価項目とした.24 週の時点での潰瘍治癒率,潰瘍の再発率,無作為化後 1 年間における潰瘍のない期間(無潰瘍期間)の長さ,患者報告に基づく健康関連 QOL を副次的評価項目とした.

結 果

ベースラインの患者背景と臨床像は 2 群で類似していた.潰瘍治癒までの期間は早期介入群が待期的介入群よりも短く,潰瘍が治癒した患者が多かった(潰瘍治癒のハザード比 1.38,95%信頼区間 [CI] 1.13~1.68,P=0.001).潰瘍治癒までの期間の中央値は早期介入群 56 日(95% CI 49~66),待期的介入群 82 日(95% CI 69~92)であった.24 週の時点での潰瘍治癒率は早期介入群 85.6%,待期的介入群 76.3%であった.試験登録後 1 年間の無潰瘍期間の中央値は早期介入群 306 日(四分位範囲 240~328),待期的介入群 278 日(四分位範囲 175~324)であった(P=0.002).血管内焼灼術の手技関連合併症でとくに頻度が高かったのは,疼痛,深部静脈血栓症であった.

結 論

表在静脈逆流に対する早期血管内焼灼術は,待期的な血管内焼灼術と比較して,静脈性下腿潰瘍の治癒を早め,無潰瘍期間を延長させた.(英国国立健康研究所 医療技術評価プログラムより研究助成を受けた.EVRA 試験:Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN02335796)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 378 : 2105 - 14. )