The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

June 7, 2018 Vol. 378 No. 23

一過性脳虚血発作または軽症脳梗塞発症後 5 年の脳卒中リスク
Five-Year Risk of Stroke after TIA or Minor Ischemic Stroke

P. Amarenco and Others

背景

一過性脳虚血発作(TIA)または軽症脳梗塞の発症後における脳卒中や他の血管イベントの長期リスクについては,十分に明らかにされていない.われわれは,2009~11 年に 21 ヵ国の TIA 診療施設登録に登録された TIA または軽症脳梗塞の患者 4,789 例の 1 年転帰を報告後,さらに追跡を行い,脳卒中と血管イベントの 5 年リスクを検討した.

方 法

登録前の 7 日間に TIA または軽症脳梗塞を発症した患者を評価した.1 年転帰研究に参加した 61 施設のうち,5 年の時点で登録患者の 50%超で追跡データが取得されている 42 施設を選択した.脳卒中,急性冠症候群,心血管系の原因による死亡(いずれか早い時点)を複合主要転帰とし,2~5 年目に発生したイベントを重点的に検討した.主要転帰と副次的転帰(全死因死亡を除く)の累積発生率の算出においては,死亡を競合リスクとした.

結 果

3,847 例が 5 年追跡研究に組み入れられ,各施設で 5 年追跡データがある患者の割合の中央値は 92.3%(四分位範囲 83.4~97.8)であった.複合主要転帰は 469 例に発生し(推定累積発生率 12.9%,95%信頼区間 [CI] 11.8~14.1),2~5 年目に発生したのは 235 件(50.1%)であった.5 年の時点で,脳卒中は 345 例に発生し(推定累積発生率 9.5%,95% CI 8.5~10.5),このうち 2~5 年目に発生したのは 149 例(43.2%)であった.5 年の時点で,全死因死亡,心血管系の原因による死亡,頭蓋内出血,重大な出血の発生率はそれぞれ 10.6%,2.7%,1.1%,1.5%であった.多変量解析では,同側大動脈のアテローム硬化,心塞栓,ベースラインの脳卒中リスクの ABCD2 スコア(0~7 で,スコアが大きいほどリスクが高いことを示す)が 4 以上であることが,2 年目以降の脳卒中リスクの上昇に関連していた.

結 論

TIA または軽症脳梗塞を発症した患者を対象とした 1 年転帰研究の追跡において,選択したコホートにおける脳卒中などの心血管系イベントの発生率は 1 年目で 6.4%,2~5 年目でも 6.4%で
あった.(AstraZeneca 社ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 378 : 2182 - 90. )