The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

June 7, 2018 Vol. 378 No. 23

データ共有のリスクと利益に関する臨床試験参加者の見解
Clinical Trial Participants' Views of the Risks and Benefits of Data Sharing

M.M. Mello, V. Lieou, and S.N. Goodman

背景

臨床試験の個別参加者データを共有することで利益が得られる可能性があるが,参加者に害が及ぶ可能性があることへの懸念から,研究費を提供する製薬企業や研究者らの一部が警告を呼びかけている.データ共有のリスクに対する臨床試験参加者の認識についてはほとんどわかっていない.

方 法

米国の 3 ヵ所の大学医療施設で,多様な臨床試験のサンプルから,現在または最近の参加者 771 例を対象に構造化調査を行った.調査票は郵送(350 例が調査を完了)または医療施設の待合室で配布(421 例が調査を完了)した(全回答率 79%).

結 果

データ共有により否定的な結果がもたらされる可能性は利益を上回ると感じていた回答者は 8%未満であった.93%は,自分のデータが大学の科学者と共有されることを許可する可能性がきわめて高い,またはどちらかといえば高いと回答し,82%は,営利企業に所属する科学者とデータを共有することを許可する可能性がきわめて高い,またはどちらかといえば高いと回答した.データ共有の意思が,データの使用目的によって大きく変わることは,訴訟での使用のためにデータを共有してもよいと回答した参加者が少なかった点を除いてはなかった.回答者の懸念が大きかったのは,データ共有により人々が臨床試験に登録することをためらう可能性があること(37%が非常に懸念される,またはどちらかといえば懸念されると回答),マーケティングを目的としてデータが使用されること(34%),データが盗まれる可能性があること(30%)であった.差別(22%),営利目的のデータ利用(20%)に対する懸念は小さかった.

結 論

この研究では,データ共有のリスクに強い懸念を抱く臨床試験の参加者はほとんどいなかった.十分なセキュリティ保護措置が講じられるのであれば,ほとんどの参加者は広範な利用のためのデータ共有に積極的であった.(Greenwall Foundation から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 378 : 2202 - 11. )