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February 1, 2018 Vol. 378 No. 5

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小児腎臓病の既往歴と成人の末期腎不全リスク
History of Childhood Kidney Disease and Risk of Adult End-Stage Renal Disease

R. Calderon-Margalit and Others

背景

小児期に慢性腎臓病まで進展しなかった小児腎臓病に関連する長期リスクは明らかにされていない.腎機能が正常で小児腎臓病の既往歴のある思春期・青年期の人における将来の末期腎不全(ESRD)リスクを推定することを目的とした.

方 法

1967~97 年に徴兵前の検査を受けた思春期・青年期のイスラエル人 1,521,501 例を対象に,全国規模の集団ベースの歴史的コホート研究を行い,データをイスラエル ESRD 登録と結び付けた.小児腎臓病は,先天性腎尿路奇形,腎盂腎炎,糸球体疾患とした.主要解析の対象とした全例が,思春期・青年期に腎機能は正常であり,血圧上昇も認めなかった.Cox 比例ハザードモデルを用いて,小児腎臓病の既往歴に関連する ESRD のハザード比を推定した.

結 果

30 年の追跡期間中に,2,490 例が ESRD を発症した.いずれかの小児腎臓病の既往歴は,ESRD のハザード比 4.19(95%信頼区間 [CI] 3.52~4.99)と関連した.小児期に診断された各腎臓病(先天性腎尿路奇形,腎盂腎炎,糸球体疾患)と成人期の ESRD リスクとの関連の強さは同程度であった(多変量補正ハザード比はそれぞれ 5.19 [95% CI 3.41~7.90],4.03 [95% CI 3.16~5.14],3.85 [95% CI 2.77~5.36]).小児腎臓病の既往歴は,ESRD の発症年齢がより低いことと関連した(40 歳未満の成人における ESRD のハザード比 10.40 [95% CI 7.96~13.59]).

結 論

臨床的に明らかな小児腎臓病の既往歴は,思春期・青年期に腎機能が一見正常であっても,ESRD リスクの有意な上昇と関連しており,小児期における腎臓障害または構造異常は長期転帰に影響を及ぼすことが示唆された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 378 : 428 - 38. )