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July 12, 2018 Vol. 379 No. 2

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乳癌における 21 遺伝子の発現解析に基づく術後補助化学療法
Adjuvant Chemotherapy Guided by a 21-Gene Expression Assay in Breast Cancer

J.A. Sparano and Others

背景

乳癌の 21 遺伝子解析に基づく再発スコアでは,スコアが高ければ化学療法による利益が予測され,低ければ化学療法を行わなくても再発リスクは低いことが予測される.しかし,多くの患者はスコアが中等度であり,そのような患者にとっての化学療法の利益は不明である.

方 法

ホルモン受容体陽性,ヒト上皮成長因子受容体 2(HER2)陰性,腋窩リンパ節転移陰性乳癌の女性 10,273 例を対象に前向き試験を行った.追跡調査の情報が得られた適格患者 9,719 例のうち 6,711 例(69%)が再発スコアが中等度の 11~25 であり,化学内分泌療法群または内分泌療法単独群に無作為に割り付けられた.この試験は,浸潤性乳癌のない生存(浸潤性乳癌の再発,二次原発癌,または死亡がないことと定義)に関する内分泌療法単独の非劣性を示す目的でデザインされた.

結 果

浸潤性乳癌のない生存の解析において,内分泌療法は,化学内分泌療法に対して非劣性を示した(浸潤性乳癌の再発,二次原発癌,または死亡のハザード比 [内分泌療法 対 化学内分泌療法] 1.08,95%信頼区間 0.94~1.24,P=0.26).9 年の時点で,2 群の浸潤性乳癌のない生存率(内分泌療法群 83.3%,化学内分泌療法群 84.3%),無遠隔再発生存率(94.5%,95.0%),無遠隔/無局所・所属リンパ節再発生存率(92.2%,92.9%),全生存率(93.9%,93.8%)は同程度であった.浸潤性乳癌のない生存に対する化学療法の利益は再発スコアと年齢の組合せによって異なり(P=0.004),再発スコアが 16~25 の 50 歳以下の女性では化学療法に多少の利益が認められた.

結 論

ホルモン受容体陽性,HER2 陰性,腋窩リンパ節転移陰性の乳癌を有し,21 遺伝子解析に基づく再発スコアが中等度の女性では,術後補助療法としての内分泌療法と化学内分泌療法の有効性は同程度であったが,50 歳以下の女性の一部では,化学療法に多少の利益が認められた.(米国国立がん研究所ほかから研究助成を受けた.TAILORx 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00310180)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 111 - 21. )