The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

October 4, 2018 Vol. 379 No. 14

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

幼少期の BMI 増加率と持続する肥満リスク
Acceleration of BMI in Early Childhood and Risk of Sustained Obesity

M. Geserick and Others

背景

小児の出生時から思春期までの体格指数(BMI)の動態は不明であり,特定の年齢で持続性の肥満を発症しやすくなるのかどうかを明らかにすることは重要である.

方 法

肥満の発症年齢を評価するために,小児期(0~14 歳)と思春期(15~18 歳)の連続する身体測定データが存在する小児 51,505 人の人口ベースの標本集団において,BMI の経時的経過の前向き解析と後ろ向き解析を行った.さらに,小児 34,196 人の小児期における,BMI 標準偏差スコアの 1 年あたりの変化と定義した BMI の年間増加の動態も評価した.

結 果

後ろ向き解析では,標準体重の思春期児の大半が,小児期を通じて常に標準体重であったことが認められた.肥満の思春期児の約半数(53%)は 5 歳以降に過体重または肥満であり,年齢とともに BMI 標準偏差スコアはさらに増加した.前向き解析では,3 歳の時点で肥満であった児のほぼ 90%が,思春期でも過体重または肥満であることが認められた.肥満の思春期児では,BMI の年間増加率は 2~6 歳のあいだで最大になり,その後,BMI パーセンタイルはさらに上昇した.就学前の BMI の年間増加率の高さは,思春期の過体重または肥満のリスクに関連し,そのリスクは就学前に BMI が安定していた児の 1.4 倍であった(しかし,就学後は関連しなかった).思春期に過体重または肥満である割合は,出生体重が在胎期間に比して大きかった児(43.7%)のほうが,在胎期間に比して適正であった児(28.4%)や小さかった児(27.2%)よりも高く,これは,在胎期間に比して大きかった児では思春期肥満のリスクが他の群の 1.55 倍であることに相当した.

結 論

肥満の思春期児では,体重のもっとも急速な増加は 2~6 歳のあいだに生じていた.また,その年齢で肥満であった児の大半は思春期に肥満であった.(「肥満機序」臨床研究センターのためのドイツ研究審議会ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03072537)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 1303 - 12. )