The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

October 11, 2018 Vol. 379 No. 15

DNA 配列決定による一次抗結核薬に対する感受性の予測
Prediction of Susceptibility to First-Line Tuberculosis Drugs by DNA Sequencing

The CRyPTIC Consortium and the 100,000 Genomes Project

背景

世界保健機関は,治療決定の指針とすることと,転帰を改善することを目的として,すべての結核患者への結核菌群の薬剤感受性検査を推奨している.一次抗結核薬に対する感受性プロファイルの正確な予測に DNA 配列決定を用いることが可能かどうかは,まだ明らかになっていない.

方 法

6 大陸 16 ヵ国の分離株について,全ゲノム配列を決定し,一次抗結核薬であるイソニアジド,リファンピン(rifampin),エタンブトール,ピラジナミドに対する耐性または感受性の表現型を関連付けた.各分離株について,9 遺伝子の薬剤耐性および薬剤感受性に関連する変異を同定し,関連が不明の変異も存在する場合を除き,個々の表現型を予測した.全ゲノム配列決定によってどの程度一次抗結核薬療法が方向付けられうるかを明らかにするために,4 剤すべての感受性プロファイルを予測した.これらのプロファイルは,イソニアジドとその他の薬剤のそれぞれに対し感受性があると予測された場合,あるいはその他の薬剤に対する感受性に影響を及ぼす遺伝子に関連が不明の変異が含まれていた場合に,4 剤すべてに対して感受性がある(全感受性 [pansusceptible])と予測された.薬剤耐性の保有率によって陰性反応適中度がどのように変化するかをシミュレーションした.

結 果

10,209 株の分離株を解析した.表現型をもっとも多く予測できたのは,リファンピン(10,130 株中 9,660 株 [95.4%])で,もっとも少なかったのはエタンブトール(9,794 株中 8,794 株 [89.8%])であった.イソニアジド,リファンピン,エタンブトール,ピラジナミドに対する耐性は,それぞれ 97.1%,97.5%,94.6%,91.3%の感度で正確に予測され,これらの薬剤に対する感受性は,99.0%,98.8%,93.6%,96.8%の特異度で正確に予測された.4 剤すべての表現型の薬剤感受性プロファイルが得られた 7,516 株の分離株のうち,完全な遺伝子型予測が揃っていたのは 5,865 株(78.0%)で,そのうち 5,250 株(89.5%)のプロファイルが正確に予測されていた.全感受性であると予測された 4,037 株の表現型プロファイルのうち,3,952 株(97.9%)のプロファイルが正確に予測された.

結 論

一次抗結核薬に対する結核菌の感受性の遺伝子型による予測は,これらの薬剤に対する感受性の表現型と相関することが見出された.(ビル&メリンダ・ゲイツ財団ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 1403 - 15. )