October 25, 2018 Vol. 379 No. 17
Phe508del アレルを 1 個または 2 個有する囊胞性線維症患者における VX-659,テザカフトール,アイバカフトールの併用
VX-659–Tezacaftor–Ivacaftor in Patients with Cystic Fibrosis and One or Two Phe508del Alleles
J.C. Davies and Others
次世代の囊胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)矯正薬 VX-659 は,テザカフトール(tezacaftor)とアイバカフトール(ivacaftor)との 3 剤併用(VX-659+テザカフトール+アイバカフトール)により,囊胞性線維症患者の Phe508del CFTR 蛋白の機能を回復させるための薬剤として開発された.
ヒト気管支上皮細胞を用いて,VX-659+テザカフトール+アイバカフトールが Phe508del CFTR 蛋白のプロセシング,輸送,機能に及ぼす影響を評価した.続いて,Phe508del CFTR 変異と最小機能 CFTR 変異のヘテロ接合体(Phe508del–MF 遺伝子型),または Phe508del CFTR 変異のホモ接合体(Phe508del–Phe508del 遺伝子型)を有する囊胞性線維症患者を対象とした無作為化比較二重盲検多施設共同試験で,VX-659+テザカフトール+アイバカフトールの 3 剤併用療法のさまざまな経口投与量を検討した.主要評価項目は,安全性と,予測 1 秒量(FEV1)に対する比率の絶対値のベースラインからの変化量とした.
VX-659+テザカフトール+アイバカフトールは,in vitro では Phe508del CFTR 蛋白のプロセシングと輸送のほか,クロライド輸送も有意に改善させた.患者においては,VX-659+テザカフトール+アイバカフトールの安全性と副作用プロファイルは忍容可能なものであった.大半の有害事象は軽度または中等度であった.Phe508del–MF 遺伝子型を有する患者では,VX-659+テザカフトール+アイバカフトールにより,29 日目までの予測 FEV1 に対する比率が平均で最大 13.3 ポイントと有意に増加した(P<0.001).テザカフトール+アイバカフトールの投与をすでに受けていた Phe508del–Phe508del 遺伝子型を有する患者では,VX-659 を追加することで予測 FEV1 に対する比率がさらに 9.7 ポイント増加した.汗中クロライド濃度と囊胞性線維症質問票改訂版の呼吸器分野のスコアは,両患者集団で改善した.
Phe508del CFTR 蛋白を標的とする VX-659+テザカフトール+アイバカフトールの in vitro での堅固な活性は,Phe508del–MF 遺伝子型または Phe508del–Phe508del 遺伝子型を有する患者では,改善という結果をもたらした.VX-659 を用いた 3 剤併用レジメンにより,囊胞性線維症患者の約 90%で,その根本的原因を治療できる可能性がある.(Vertex Pharmaceuticals 社から研究助成を受けた.VX16-659-101 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03224351,VX16-659-001 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03029455)