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November 1, 2018 Vol. 379 No. 18

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心原性ショックに対する PCI 戦略から 1 年後の転帰
One-Year Outcomes after PCI Strategies in Cardiogenic Shock

H. Thiele and Others

背景

急性心筋梗塞,心原性ショック,多枝冠動脈疾患を有する患者では,30 日の時点での全死因死亡,または腎代替療法にいたる重症腎不全の複合リスクは,責任病変のみに施行する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)のほうが,即時の多枝 PCI よりも低いことが明らかになった.1 年の時点での臨床転帰を評価した.

方 法

706 例を,責任病変のみに PCI を施行する群と即時に多枝 PCI を施行する群に無作為に割り付けた.30 日の時点での死亡または腎代替療法のエンドポイントの結果は,以前に報告している.事前に規定した 1 年の時点での副次的エンドポイントは,全死因死亡,心筋梗塞再発,再血行再建,うっ血性心不全による再入院,死亡・心筋梗塞再発の複合,死亡・心筋梗塞再発・心不全による再入院の複合などとした.

結 果

既報のとおり,30 日の時点では,主要エンドポイントは責任病変単独 PCI 群の 45.9%と多枝 PCI 群の 55.4%に発生した(P=0.01).1 年の時点では,死亡は責任病変単独 PCI 群 344 例中 172 例(50.0%)と多枝 PCI 群 341 例中 194 例(56.9%)に発生した(相対リスク 0.88,95%信頼区間 [CI] 0.76~1.01).心筋梗塞再発率は,責任病変単独 PCI 群 1.7%,多枝 PCI 群 2.1%であり(相対リスク 0.85,95% CI 0.29~2.50),死亡・心筋梗塞再発の複合発生率は,それぞれ 50.9%と 58.4%であった(相対リスク 0.87,95% CI 0.76~1.00).再血行再建は,責任病変単独 PCI 群のほうが多枝 PCI 群よりも施行頻度が高く(32.3% 対 9.4%,相対リスク 3.44,95% CI 2.39~4.95),心不全による再入院も同様であった(5.2% 対 1.2%,相対リスク 4.46,95% CI 1.53~13.04).

結 論

急性心筋梗塞と心原性ショックをきたした患者では,30 日の時点での死亡または腎代替療法のリスクは責任病変単独 PCI のほうが即時多枝 PCI よりも低く,追跡 1 年の時点では,死亡率に群間で有意差は認められなかった.(欧州連合第 7 次フレームワークプログラムほかから研究助成を受けた.CULPRIT-SHOCK 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01927549)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 1699 - 710. )