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July 5, 2018 Vol. 379 No. 1

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遺伝性トランスサイレチンアミロイドーシス患者に対するイノテルセン治療
Inotersen Treatment for Patients with Hereditary Transthyretin Amyloidosis

M.D. Benson and Others

背景

遺伝性トランスサイレチンアミロイドーシスは,トランスサイレチンのミスフォールディングと全身へのアミロイド沈着を誘発する,トランスサイレチンをコードする遺伝子(TTR)の病原性一塩基多様体によって引き起こされる.アミロイドの蓄積が進むと,多臓器不全を起こし死にいたる.2′-O-メトキシエチル修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドであるイノテルセン(inotersen)は,肝臓のトランスサイレチン産生を阻害する.

方 法

多発ニューロパチーを伴う遺伝性トランスサイレチンアミロイドーシスの病期 1(歩行可能)または 2(介助歩行)の成人患者を対象に,イノテルセンを検討する 15 ヵ月間の国際無作為化二重盲検プラセボ対照第 3 相試験を行った.患者を,イノテルセン(300 mg)を週 1 回皮下注射する群とプラセボを投与する群に,2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,修正ニューロパチー障害スコア+7(mNIS+7;-22.3~346.3 で,スコアが高いほど機能障害が重度であることを示し,臨床的に意味のある最小変化量は 2 点)の変化量と,患者報告に基づく Norfolk QOL–糖尿病性神経障害(QOL-DN)質問票(-4~136 で,スコアが高いほど QOL が低いことを示す)でのスコアの変化量とした.スコアの低下は改善を示した.

結 果

172 例(イノテルセン群 112 例,プラセボ群 60 例)が,試験レジメンの投与を 1 回以上受け,139 例(81%)が介入期間を終了した.主要有効性評価は双方ともイノテルセンのほうが良好であり,ベースラインから 66 週までの変化量の最小二乗平均の群間差(イノテルセン-プラセボ)は,mNIS+7 で -19.7 点(95%信頼区間 [CI]-26.4~-13.0,P<0.001),Norfolk QOL-DN スコアで -11.7 点(95% CI -18.3~-5.1,P<0.001)であった.これらの改善は疾患の病期,変異型,心筋症の有無とは独立していた.イノテルセン群で 5 例の死亡が発生したが,プラセボ群では発生しなかった.イノテルセン群でとくに頻度の高かった重篤な有害事象は,糸球体腎炎(3 例 [3%])と血小板減少症(3 例 [3%])であり,死亡 1 例はグレード 4 の血小板減少症と関連した.その後は全例の観察を強化した.

結 論

イノテルセンは,遺伝性トランスサイレチンアミロイドーシス患者の神経疾患の経過と QOL を改善した.血小板減少症と糸球体腎炎は,観察の強化により管理された.(Ionis Pharmaceuticals 社から研究助成を受けた.NEURO-TTR 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01737398)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 22 - 31. )