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December 13, 2018 Vol. 379 No. 24

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前立腺癌に対する根治的前立腺全摘除術と経過観察との比較 ― 29 年間の追跡
Radical Prostatectomy or Watchful Waiting in Prostate Cancer — 29-Year Follow-up

A. Bill-Axelson and Others

背景

臨床的に発見された限局性前立腺癌の男性では,根治的前立腺全摘除術により死亡率が低下するが,長期追跡を伴う無作為化試験のエビデンスは乏しい.

方 法

1989 年 10 月~1999 年 2 月に,限局性前立腺癌の男性 695 例を経過観察群と根治的前立腺全摘除術群に無作為に割り付け,2017 年まで追跡データを収集した.intention-to-treat 解析と per-protocol 解析で,全死因死亡,前立腺癌死亡,転移の累積発生率と,相対リスクおよびその 95%信頼区間を推定し,獲得余命年数を推定した.Cox 比例ハザードモデルを用いて,病理組織学的指標の予後予測能を評価した.

結 果

2017 年 12 月 31 日までに,根治的前立腺全摘除術群の 347 例中 261 例,経過観察群の 348 例中 292 例が死亡した.このうち根治的前立腺全摘除術群の 71 例と経過観察群の 110 例は前立腺癌が原因であった(相対リスク 0.55,95%信頼区間 [CI] 0.41~0.74,P<0.001,リスクの絶対差 11.7 パーセントポイント,95% CI 5.2~18.2).全死因死亡 1 例を予防するための治療必要数は 8.4 であった.23 年の時点で,根治的前立腺全摘除術により,平均 2.9 年の余命が獲得された.根治的前立腺全摘除術を行った男性のうち,被膜外浸潤を認めた男性では,被膜外浸潤を認めなかった男性の 5 倍の前立腺癌死亡リスクに関連し,グリーソンスコア(2~10 で,スコアが高いほど癌の悪性度が高いことを示す)が 7 を超えることは,スコアが 6 以下の男性の 10 倍の前立腺癌死亡リスクに関連していた.

結 論

臨床的に発見された限局性前立腺癌で余命が長い男性では,根治的前立腺全摘除術により利益が得られ,獲得余命は平均 2.9 年であった.グリーソンスコアが高いことと,根治的前立腺全摘除術検体における被膜外浸潤の存在は,前立腺癌死亡の予測能が高かった.(スウェーデン対がん協会ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 2319 - 29. )