The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

December 13, 2018 Vol. 379 No. 24

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

III 期非小細胞肺癌に対する化学放射線療法後のデュルバルマブによる全生存期間
Overall Survival with Durvalumab after Chemoradiotherapy in Stage III NSCLC

S.J. Antonia and Others

背景

この第 3 相試験の既報の解析では,デュルバルマブにより,プラセボと比較して,同時化学放射線療法後に病勢進行を認めない切除不能 III 期非小細胞肺癌(NSCLC)患者の無増悪生存期間が有意に延長することが示された.本稿では,2 つ目の主要評価項目である全生存期間の結果を報告する.

方 法

患者を,デュルバルマブを 10 mg/kg 体重で静脈内投与する群とマッチさせたプラセボを投与する群に 2:1 の割合で無作為に割り付け,2 週ごとに最長 12 ヵ月間投与した.無作為化は患者が化学放射線療法を受けた 1~42 日後に行い,年齢,性別,喫煙歴で層別化した.主要評価項目は,無増悪生存期間(盲検下での独立した中央判定による評価)と全生存期間とした.副次的評価項目は,死亡または遠隔転移までの期間,二次進行までの期間,安全性などとした.

結 果

無作為化された 713 例のうち,709 例が割り付けられた介入を受けた(デュルバルマブ群 473 例,プラセボ群 236 例).2018 年 3 月 22 日の時点で,追跡期間の中央値は 25.2 ヵ月であった.24 ヵ月全生存率は,デュルバルマブ群では 66.3%(95%信頼区間 [CI] 61.7~70.4)であったのに対し,プラセボ群では 55.6%(95% CI 48.9~61.8)であった(両側 P=0.005).デュルバルマブにより,プラセボと比較して全生存期間が有意に延長した(死亡の層別化ハザード比 0.68,99.73% CI 0.47~0.997,P=0.0025).無増悪生存期間に関する最新の解析結果は既報と同様であり,無増悪生存期間の中央値は,デュルバルマブ群で 17.2 ヵ月,プラセボ群で 5.6 ヵ月であった(病勢進行または死亡の層別化ハザード比 0.51,95% CI 0.41~0.63).死亡または遠隔転移までの期間の中央値は,デュルバルマブ群で 28.3 ヵ月,プラセボ群で 16.2 ヵ月であった(層別化ハザード比 0.53,95% CI 0.41~0.68).デュルバルマブ群の 30.5%とプラセボ群の 26.1%で,原因を問わずグレード 3 または 4 の有害事象が認められた.有害事象が原因で試験レジメンを中止した患者の割合は,デュルバルマブ群で 15.4%,プラセボ群で 9.8%であった.

結 論

デュルバルマブ療法は,プラセボと比較して有意に長い全生存期間をもたらした.新たな安全性シグナルは認められなかった.(AstraZeneca 社から研究助成を受けた.PACIFIC 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02125461)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 2342 - 50. )