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December 27, 2018 Vol. 379 No. 26

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新たに進行卵巣癌と診断された患者におけるオラパリブ維持療法
Maintenance Olaparib in Patients with Newly Diagnosed Advanced Ovarian Cancer

K. Moore and Others

背景

新たに進行卵巣癌と診断された女性の大部分は,手術と白金製剤ベースの化学療法による標準治療後 3 年以内に再発する.再発卵巣癌に対する経口ポリ(アデノシン二リン酸リボース)ポリメラーゼ阻害薬オラパリブの利益は十分に確立されているが,新たに診断された卵巣癌に対するオラパリブ維持療法の利益は明らかではない.

方 法

進行期(国際産婦人科連合 [FIGO] 分類 III 期または IV 期)の高悪性度漿液性または類内膜卵巣癌,原発性腹膜癌,卵管癌(あるいはそれらの合併)と新たに診断され,BRCA1 または BRCA2 あるいはそれらの両方(BRCA1/2)が変異陽性で,白金製剤ベースの化学療法後に臨床的完全奏効または部分奏効が得られた患者を対象に,オラパリブ維持療法の有効性を評価する国際無作為化二重盲検第 3 相試験を行った.患者を,オラパリブ錠(300 mg を 1 日 2 回)群とプラセボ群に 2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は無増悪生存期間とした.

結 果

無作為化された 391 例のうち,260 例がオラパリブ群,131 例がプラセボ群に割り付けられた.388 例は生殖細胞系 BRCA1/2 変異が中央で確認され,2 例は体細胞系 BRCA1/2 変異が中央で確認された.追跡期間中央値 41 ヵ月の時点での病勢進行または死亡のリスクは,オラパリブ群ではプラセボ群よりも 70%低かった(3 年の時点での病勢進行および死亡の回避率の Kaplan–Meier 推定値 60% 対 27%,病勢進行または死亡のハザード比 0.30,95%信頼区間 0.23~0.41,P<0.001).有害事象はオラパリブの既知の毒性と一致していた.

結 論

新たに進行卵巣癌と診断された BRCA1/2 変異陽性の女性では,オラパリブによる維持療法で無増悪生存期間に関して大きな利益が得られ,病勢進行または死亡のリスクはオラパリブ群がプラセボ群よりも 70%低かった.(AstraZeneca 社,Merck 社から研究助成を受けた.SOLO1 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01844986)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 2495 - 505. )