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March 19, 2020 Vol. 382 No. 12

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4~12 ヵ月持続する坐骨神経痛に対する手術と保存的治療との比較
Surgery versus Conservative Care for Persistent Sciatica Lasting 4 to 12 Months

C.S. Bailey and Others

背景

腰椎椎間板ヘルニアに起因する慢性坐骨神経痛の治療は,急性椎間板ヘルニアと比較して十分な研究が行われていない.数ヵ月持続する坐骨神経痛には,椎間板切除術と保存的アプローチのどちらが有効であるか,データが必要である.

方 法

単一施設試験で,4~12 ヵ月持続する坐骨神経痛と,L4/5 または L5/S1 の腰椎椎間板ヘルニアを有する患者を,顕微鏡下ヘルニア摘出術を行う群と,6 ヵ月間の標準的な非観血的治療を行ってから必要に応じて手術を行う群に,1:1 の割合で無作為に割り付けた.手術は脊椎外科医が従来の顕微鏡下ヘルニア摘出術の手法を用いて行った.主要評価項目は,組入れ後 6 ヵ月の時点でのビジュアルアナログスケール(0~10 で,スコアが高いほど疼痛が強いことを示す)における下肢痛の強度とした.副次的評価項目は,6 週間,3 ヵ月,6 ヵ月,1 年の時点でのオスウェストリー障害指数(ODI)のスコア,背部痛と下肢痛のスコア,QOL のスコアとした.

結 果

2010~16 年に 790 例がスクリーニングされ,そのうち 128 例,各群 64 例が組み入れられた.手術に割り付けられた患者において,無作為化から手術までの期間の中央値は 3.1 週であった.非手術群では,64 例中 22 例(34%)が組入れ後期間中央値 11 ヵ月の時点で手術にクロスオーバーした.ベースライン時の下肢痛強度スコアの平均は手術群で 7.7,非手術群で 8.0 であった.主要評価項目である,6 ヵ月の時点での下肢痛強度スコアは手術群で 2.8,非手術群で 5.2 であった(補正後の差の平均 2.4,95%信頼区間 1.4~3.4,P<0.001).12 ヵ月の時点での ODI スコアや疼痛スコアなどの副次的評価項目は,主要評価項目と同じ方向性を示した.手術に関連する有害事象が 9 例に発現し,1 例が椎間板ヘルニア再発に対する再手術を受けた.

結 論

腰椎椎間板ヘルニアに起因する坐骨神経痛が 4 ヵ月以上持続している患者を対象とした単一施設試験で,顕微鏡下ヘルニア摘出術は,追跡 6 ヵ月の時点での疼痛の強度に関して,保存的治療に対する優越性を示した.(Physicians’ Services Incorporated 基金から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01335646)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 382 : 1093 - 102. )