The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

March 26, 2020 Vol. 382 No. 13

新型コロナウイルス感染による肺炎の中国・武漢における初期の伝播動態
Early Transmission Dynamics in Wuhan, China, of Novel Coronavirus–Infected Pneumonia

Q. Li and Others

背景

新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染による肺炎(NCIP)の最初の症例は,中国の湖北省武漢市で 2019 年 12 月と 2020 年 1 月に発生した.NCIP の疫学的特徴を明らかにするため,武漢市における最初の確定例 425 例のデータを解析した.

方 法

2020 年 1 月 22 日までに報告された,臨床検査で NCIP が確認された症例の人口統計学的特性,曝露歴,疾患の経過に関する情報を収集した.症例の特徴を記述し,鍵となる疫学的時間遅延分布を推定した.指数関数的に増加する初期に,流行倍加時間と基本再生産数を推定した.

結 果

NCIP が確認された最初の 425 例の年齢の中央値は 59 歳であり,56%は男性であった.2020 年 1 月 1 日より前に発症した症例の大部分(55%)は華南海鮮卸売市場と関連していたのに対し,以降に発症した症例では 8.6%であった.平均潜伏期間は 5.2 日(95%信頼区間 [CI] 4.1~7.0),分布の 95 パーセンタイルは 12.5 日であった.初期の段階では,流行の規模は 7.4 日ごとに倍加した.連続する症例間の発症間隔の平均は 7.5 日(95% CI 5.3~19),基本再生産数は 2.2(95% CI 1.4~3.9)と推定された.

結 論

この情報に基づくと,2019 年 12 月中旬以降に濃厚接触者間でヒト–ヒト伝播が起こったというエビデンスがある.同様の動態が他の場所にも当てはまるならば,集団発生対策には,伝播を抑制するための相当な取組みが必要となる.リスクを有する集団に対しては,伝播を予防または抑制する対策をとるべきである.(中国科学技術部ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 382 : 1199 - 207. )