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March 26, 2020 Vol. 382 No. 13

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多剤耐性 HIV-1 感染成人に対するホステムサビル
Fostemsavir in Adults with Multidrug-Resistant HIV-1 Infection

M. Kozal and Others

背景

複数の抗レトロウイルス療法を受け,治療選択肢が限られている一部のヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)感染患者には,新たな作用機序をもつ新規クラスの抗レトロウイルス薬が必要である.ホステムサビル(fostemsavir)は,画期的医薬品(ファーストインクラス)として開発中の HIV-1 接着阻害薬,テムサビル(temsavir)のプロドラッグである.

方 法

23 ヵ国で進行中の第 3 相試験において,多剤耐性 HIV-1 感染患者を,残された治療選択肢に基づいて 2 つの群に登録した.第 1 群では,1 クラス以上 2 クラス以下の抗レトロウイルス薬に選択肢として使用できる十分に有効な既承認薬が 1 剤以上ある患者を,失敗しつつあるレジメンにホステムサビル(600 mg 1 日 2 回)を追加する群とプラセボを追加する群に(3:1 の割合で)割り付けて 8 日間投与した後,非盲検下でホステムサビル投与+最適化された基礎療法を行った(無作為化群).第 2 群では,抗レトロウイルス薬の選択肢が残されていない患者に,非盲検下で 1 日目からホステムサビル投与+最適化された基礎療法を開始した(非無作為化群).主要評価項目は,無作為化群における HIV-1 RNA 量の 1 日目から 8 日目までの変化量の平均とした.

結 果

無作為化群 272 例,非無作為化群 99 例の計 371 例が治療を受けた.8 日の時点で,HIV-1 RNA 量の減少量の平均は,ホステムサビル群で 0.79 log10 コピー/mL,プラセボ群で 0.17 log10 コピー/mL であった(P<0.001).48 週の時点で,ウイルス陰性化(HIV-1 RNA 量 40 コピー/mL 未満)は無作為化群の 54%と非無作為化群の 38%で得られ,CD4 陽性 T 細胞数の増加量の平均はそれぞれ 139/mm3 と 64/mm3 であった.有害事象により患者の 7%がホステムサビルを中止した.無作為化群では,ウイルス学的失敗をきたした 47 例中 20 例(43%)で糖蛋白 120(gp120)の置換が検出された.

結 論

治療選択肢の限られた多剤耐性 HIV-1 感染患者では,ホステムサビルの投与を受けた患者のほうが,プラセボの投与を受けた患者よりも最初の 8 日間に減少した HIV-1 RNA 量が有意に大きかった.有効性は 48 週まで持続した.(ブリストル・マイヤーズ スクイブ社,GSK/ヴィーブヘルスケア社から研究助成を受けた.BRIGHTE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02362503)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 382 : 1232 - 43. )