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March 26, 2020 Vol. 382 No. 13

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輸血依存性βサラセミア患者を対象としたラスパテルセプトの第 3 相試験
A Phase 3 Trial of Luspatercept in Patients with Transfusion-Dependent β-Thalassemia

M.D. Cappellini and Others

背景

輸血依存性βサラセミア患者は定期的な赤血球輸血を必要とする.このような患者において,特定のトランスフォーミング増殖因子βスーパーファミリーリガンドと結合する組換え融合蛋白であるラスパテルセプト(luspatercept)は,赤血球の成熟を促進して輸血の負担(輸血される赤血球の総単位数)を減少させる可能性がある.

方 法

無作為化二重盲検第 3 相試験で,輸血依存性βサラセミアの成人患者を,最善の支持療法に加えて,48 週間以上ラスパテルセプト(1.00~1.25 mg/kg 体重)を投与する群とプラセボを投与する群に 2:1 の割合で割り付けた.主要評価項目は,13~24 週目に輸血の負担がベースラインから 33%以上減少し,かつその 12 週間に赤血球輸血が 2 単位以上減少した患者の割合とした.その他の有効性評価項目は,いずれかの 12 週間における輸血負担量の減少,鉄に関する検査結果などとした.

結 果

224 例がラスパテルセプト群,112 例がプラセボ群に割り付けられた.ラスパテルセプトまたはプラセボの投与期間の中央値は,両群で約 64 週間であった.13~24 週目に輸血の負担がベースラインから 33%以上減少し,かつその 12 週間に赤血球輸血が 2 単位以上減少した患者の割合は,ラスパテルセプト群のほうがプラセボ群よりも有意に高かった(21.4% 対 4.5%,P<0.001).いずれかの 12 週間で輸血の負担が 33%以上減少した患者の割合は,ラスパテルセプト群のほうがプラセボ群よりも高く(70.5% 対 29.5%),50%以上減少した患者の割合についても同様であった(40.2% 対 6.3%).48 週の時点での血清フェリチン値の最小二乗平均の群間差は -348μg/L(95%信頼区間 -517~-179)であり,ラスパテルセプトを支持していた.一過性の骨痛,関節痛,めまい,高血圧,高尿酸血症の有害事象の頻度は,ラスパテルセプト群のほうがプラセボ群よりも高かった.

結 論

輸血の負担が減少した輸血依存性βサラセミア患者の割合は,ラスパテルセプト群のほうがプラセボ群よりも有意に高く,投与中止にいたった有害事象はごく少数であった.(セルジーン社,アクセルロン ファーマ社から研究助成を受けた.BELIEVE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02604433,EudraCT 登録番号 2015-003224-31)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 382 : 1219 - 31. )