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May 7, 2020 Vol. 382 No. 19

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原発性血球貪食性リンパ組織球症の小児に対するエマパルマブ
Emapalumab in Children with Primary Hemophagocytic Lymphohistiocytosis

F. Locatelli and Others

背景

原発性血球貪食性リンパ組織球症は,免疫調節異常と過剰炎症を特徴とするまれな症候群である.乳児期に発症するのが典型であり,死亡率は高い.

方 法

18 歳以下で,原発性血球貪食性リンパ組織球症を有し,登録前に従来の治療を受けていた患児(治療歴のある患児)と治療歴のない患児を対象とした非盲検単群第 2/3 相試験で,エマパルマブ(emapalumab)(ヒト抗インターフェロンγ抗体)をデキサメタゾンと併用した場合の有効性と安全性を検討した.治療が継続された患者は,同種造血幹細胞移植後 1 年まで,移植が行われなかった場合はエマパルマブの最終投与後 1 年まで,長期追跡研究に参加可能とした.計画された 8 週間の投与期間は,移植のタイミングにより必要に応じて短縮または延長可能とした.主要有効性エンドポイントは全奏効とし,治療歴のある患児を対象に,客観的な臨床基準と臨床検査基準に従って評価した.

結 果

カットオフ日とした 2017 年 7 月 20 日の時点で,34 例(治療歴のある患児 27 例,治療歴のない患児 7 例)がエマパルマブの投与を受けていた.26 例が試験を完了した.治療歴のある患児の 63%,エマパルマブの注入を受けた患児の 65%で奏効が得られ,これらの割合は事前に設定した帰無仮説の 40%よりも有意に高かった(それぞれ P=0.02 と P=0.005).治療歴のある患児では 70%が移植に進むことができ,エマパルマブの投与を受けた患児では 65%であった.最終観察時点で,治療歴のある患児の 74%とエマパルマブの投与を受けた患児の 71%が生存していた.エマパルマブは臓器毒性を伴わなかった.エマパルマブの投与期間中に 10 例が重症感染症を発症した.1 例が播種性ヒストプラスマ症によりエマパルマブを中止した.

結 論

エマパルマブは,原発性血球貪食性リンパ組織球症の患児に対する有効な標的治療であることが示された.(NovImmune 社,欧州委員会から研究助成を受けた.NI-0501-04 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01818492,NI-0501-05 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02069899)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 382 : 1811 - 22. )