再滅菌したペースメーカーおよび除細動器に関連した感染
Infections Associated with Resterilized Pacemakers and Defibrillators
T.F. Khairy and Others
資源の限られた地域では,ペースメーカーや除細動器へのアクセスが問題となっている.富裕国の患者から死後に摘出した植込み型心臓デバイスの再滅菌と再利用が行われるようになったが,感染のリスクが不明であることが懸念されている.
医療を十分に受けられない国に対し,検査し再滅菌したペースメーカーと除細動器を提供する国際共同プログラムが 1983 年に開始され,2003 年に前向き登録が確立された.このプログラムで再利用デバイスを植え込まれた患者を,カナダで新しいデバイスを植え込まれた対照患者と 1:3 の割合でマッチさせた.主要転帰は感染またはデバイス関連死亡とし,その他の原因による死亡を競合リスクとしてモデルに加えた.
再滅菌したデバイスは 1,051 例(平均 [±SD] 年齢 63.2±18.5 歳,女性 43.6%)に植え込まれた.国の内訳はメキシコ(36.0%),ドミニカ共和国(28.1%),グアテマラ(26.6%),ホンジュラス(9.3%)であった.全体で,85%がペースメーカー,15%が除細動器を植え込まれ,リードは 1 本(55.5%),2 本(38.8%),3 本(5.7%)であった.これらの患者とマッチさせた対照 3,153 例とで,ベースライン特性に差はなかった.追跡調査 2 年の時点で,感染は再利用デバイスを植え込まれた 21 例(2.0%)と新しいデバイスを植え込まれた 38 例(1.2%)に発生し(ハザード比 1.66,95%信頼区間 0.97~2.83,P=0.06),デバイス関連死亡はなかった.感染に関与した病原体でとくに多かったのは黄色ブドウ球菌と表皮ブドウ球菌であった.
医療を十分に受けられない国で,再滅菌した再利用ペースメーカーまたは除細動器を植え込まれた患者において,2 年の時点での感染またはデバイス関連死亡の発生率は 2.0%であり,マッチさせた対照である,カナダで新しいデバイスを植え込まれた患者で観察された発生率とのあいだに有意差は認められなかった.