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May 14, 2020 Vol. 382 No. 20

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整形外科の非大手術におけるリバーロキサバンとエノキサパリンとの比較
Rivaroxaban or Enoxaparin in Nonmajor Orthopedic Surgery

C.M. Samama and Others

背景

下肢の整形外科非大手術では,術後に一時的に不動となるため,患者は静脈血栓塞栓症のリスクにさらされる.これらの患者における重大な静脈血栓塞栓症の予防に関して,リバーロキサバンはエノキサパリンに対して非劣性である可能性がある.

方 法

国際共同並行群間無作為化二重盲検非劣性試験で,下肢の整形外科非大手術を受ける,試験担当医師の評価で静脈血栓塞栓症のリスクがあると考えられた成人患者を,リバーロキサバンの投与を受ける群とエノキサパリンの投与を受ける群に無作為に割り付けた.重大な静脈血栓塞栓症の主要有効性転帰は,治療期間中の症候性の遠位または近位深部静脈血栓症,肺塞栓症,静脈血栓塞栓症関連死と,治療終了時の無症候性近位深部静脈血栓症の複合とした.リバーロキサバンがエノキサパリンに対して非劣性であることが証明された場合に,優越性の検定を予定した.すべての転帰について,多重代入法を用いて欠測データを補完した.事前に規定した安全性転帰は,大出血(致死的出血,重大な出血,臨床的な顕性出血,介入にいたった手術部位の出血)と大出血ではないが臨床的に重要な出血などとした.

結 果

3,604 例が無作為化され,1,809 例がリバーロキサバンの投与を受ける群,1,795 例がエノキサパリンの投与を受ける群に割り付けられた.重大な静脈血栓塞栓症は,リバーロキサバン群の 1,661 例中 4 例(0.2%)とエノキサパリン群の 1,640 例中 18 例(1.1%)に発生した(多重代入法を用いたリスク比 0.25,95%信頼区間 0.09~0.75,非劣性の P<0.001,優越性の P=0.01).出血の発生率にリバーロキサバン群とエノキサパリン群とで有意差は認められなかった(大出血または大出血ではないが臨床的に重要な出血はそれぞれ 1.1%と 1.0%,大出血は 0.6%と 0.7%).

結 論

リバーロキサバンは,下肢の整形外科非大手術後の不動期間中における静脈血栓塞栓症イベントの予防効果がエノキサパリンよりも高かった.(サン・テティエンヌ大学病院,バイエル社から研究助成を受けた.PRONOMOS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02401594)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 382 : 1916 - 25. )