1 型糖尿病におけるアロプリノールによる血清尿酸値の低下と腎機能
Serum Urate Lowering with Allopurinol and Kidney Function in Type 1 Diabetes
A. Doria and Others
血清尿酸高値は,糖尿病性腎臓病の高いリスクと関連する.1 型糖尿病と早期~中等度の糖尿病性腎臓病を有する人の血清尿酸値をアロプリノールで低下させることで,糸球体濾過量(GFR)の低下速度が抑制される可能性がある.
二重盲検試験で,1 型糖尿病を有し,血清尿酸値 4.5 mg/dL 以上,推算 GFR 40.0~99.9 mL/分/1.73 m2 体表面積で,糖尿病性腎臓病の所見がある参加者をアロプリノール群とプラセボ群に無作為に割り付けた.主要評価項目は,3 年間の介入+2 ヵ月の休薬期間後の,ベースライン値で補正した GFR(イオヘキソールを用いて測定)とした.副次的評価項目は,イオヘキソールに基づく GFR の年間低下率,休薬後の尿中アルブミン排泄率などとした.安全性も評価した.
267 例がアロプリノール群,263 例がプラセボ群に割り付けられた.平均年齢は 51.1 歳,糖尿病罹病期間の平均は 34.6 年,平均糖化ヘモグロビン値は 8.2%であった.ベースラインのイオヘキソールに基づく GFR の平均は,アロプリノール群 68.7 mL/分/1.73 m2,プラセボ群 67.3 mL/分/1.73 m2 であった.介入期間中,血清尿酸値の平均はアロプリノール群では 6.1 mg/dL から 3.9 mg/dL に低下し,プラセボ群では 6.1 mg/dL から変化しなかった.休薬後のイオヘキソールに基づく GFR の平均の群間差は 0.001 mL/分/1.73 m2(95%信頼区間 [CI] -1.9~1.9,P=0.99)であった.イオヘキソールに基づく GFR の年間低下率の平均は,アロプリノール群で -3.0 mL/分/1.73 m2,プラセボ群で -2.5 mL/分/1.73 m2 であった(群間差 -0.6 mL/分/1.73 m2,95% CI -1.5~0.4).休薬後の尿中アルブミン排泄率の平均は,アロプリノール群がプラセボ群より 40%(95% CI 0~80)高かった.重篤な有害事象の発現頻度は 2 群で同程度であった.
1 型糖尿病と早期~中等度の糖尿病性腎臓病を有する患者では,アロプリノールで血清尿酸値を低下させても,腎転帰に関して臨床的に意味のある利益を示す所見は認められなかった.(米国国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所ほかから研究助成を受けた.PERL 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02017171)