The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

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日本語アブストラクト

January 2, 2020 Vol. 382 No. 1

血友病 A に対する AAV5-hFVIII-SQ 遺伝子治療の複数年にわたる追跡調査
Multiyear Follow-up of AAV5-hFVIII-SQ Gene Therapy for Hemophilia A

K.J. Pasi and Others

背景

アデノ随伴ウイルス(AAV)を介した遺伝子治療は,血友病 A 患者の治療選択肢として研究中である.有効性と安全性のデータには,AAV5-hFVIII-SQ 単回投与後 3 年間の追跡調査が含まれている.

方 法

さまざまな用量の AAV5-hFVIII-SQ の単回注入を受けた重症血友病 A(第 VIII 因子濃度 1 IU/dL 以下)の成人患者 15 例における,持続的な有効性,長期の安全性,臨床的・生物学的な結果を報告する.第 VIII 因子濃度,出血イベントの年間発生率,第 VIII 因子の使用,安全性,発現動態,AAV 形質導入の生物学的マーカーを最長 3 年間評価した.

結 果

注入から 3 年後,発色合成基質法による評価で,第 VIII 因子発現が 1 IU/dL 未満であった参加者は 2 例(1 例には 6×1012 ベクターゲノム [vg]/kg 体重,もう 1 例には 2×1013 vg/kg を投与)であった.7 例(6×1013 vg/kg を投与)では,第 VIII 因子発現の中央値は 20 IU/dL で,治療後の出血イベントの年間発生数の中央値は 0,外因性第 VIII 因子の使用回数の中央値は年間 138.5 回から 0 回に減少した.この患者集団における標的関節(6 ヵ月以内に出血イベントが 3 回以上発生した大関節)のすべてで出血が消失した(12 ヵ月以内の出血イベントが 2 回以下).注入から 2 年後,6 例(4×1013 vg/kg を投与)では,第 VIII 因子発現の中央値は 13 IU/dL で,出血イベントの年間発生率の中央値は 0,第 VIII 因子の使用回数の中央値は年間 155.5 回から 0.5 回に減少した.標的関節の出血はこの 6 例のうち 5 例で消失した.第 VIII 因子の薬力学プロファイルは,血液中の細胞のターンオーバーと,持続的な発現のためのエピソーム DNA の安定化にいたる分子事象を反映しており,これは以前 2 つのモデル系で観察された結果と一致している.導入遺伝子由来のヒト第 VIII 因子(hFVIII)蛋白活性は,止血能が天然の hFVIII と同様であった.インヒビターの発生,血栓症,死亡,肝機能検査値の持続的な変化は観察されなかった.

結 論

血友病 A 患者に対する AAV5-hFVIII-SQ ベクターによる遺伝子治療は,4×1013 vg/kg または 6×1013 vg/kg の投与を受けた参加者全例における出血イベントの年間発生率の相当な低下と,第 VIII 因子の予防的使用の完全な中止に示されるとおり,持続的かつ臨床的に重要な利益をもたらした.(バイオマリン ファーマシューティカル社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02576795,EudraCT 登録番号 2014-003880-38)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 382 : 29 - 40. )