January 23, 2020 Vol. 382 No. 4
子宮筋腫を有する女性の重度の月経出血に対するエラゴリックス
Elagolix for Heavy Menstrual Bleeding in Women with Uterine Fibroids
W.D. Schlaff and Others
子宮筋腫は,重度の月経出血を伴うホルモン感受性腫瘍である.エラゴリックス(elagolix)は,卵巣性ホルモンを速やかにかつ可逆的に抑制する経口ゴナドトロピン放出ホルモン拮抗薬であり,筋腫に伴う出血を減少させる可能性がある.
2 件の同一デザインの,6 ヵ月間の二重盲検無作為化プラセボ対照第 3 相試験(Elaris Uterine Fibroids 1 [UF-1] 試験,Elaris Uterine Fibroids 2 [UF-2] 試験)を行い,筋腫に伴う出血がある女性において,エラゴリックス 300 mg の 1 日 2 回投与を,ホルモン「アドバック」療法(低下した内因性ホルモン濃度を補うために行う.ここではエストラジオール 1 mg と酢酸ノルエチンドロン [norethindrone acetate] 0.5 mg を 1 日 1 回)と併用した場合の有効性と安全性を評価した.エラゴリックスのエストロゲン低下作用に対するアドバック療法の影響を評価するため,エラゴリックス単独群を含めた.主要エンドポイントは,投与最終月の月経出血量が 80 mL 未満であること,かつベースラインから最終月までに月経出血量が 50%以上減少することとし,欠測データは多重代入法により補完した.
UF-1 試験では 412 例,UF-2 試験では 378 例が無作為化され,エラゴリックスまたはプラセボの投与を受け,解析に含まれた.主要エンドポイントの基準を満たしたのは,エラゴリックス+アドバック療法を受けた UF-1 試験の 206 例では 68.5%,UF-2 試験の 189 例では 76.5%であったのに対し,プラセボ投与を受けた UF-1 試験の 102 例では 8.7%,UF-2 試験の 94 例では 10%であった(いずれの試験も P<0.001).エラゴリックスのみの投与を受けた女性で主要エンドポイントの基準を満たしたのは,UF-1 試験の 104 例では 84.1%,UF-2 試験の 95 例では 77%であった.エラゴリックス+アドバック療法群では,ほてり(両試験)と不正子宮出血(UF-1 試験)の発現がプラセボ群よりも有意に多かった.エラゴリックスのエストロゲン低下作用,とくに骨密度の低下は,アドバック療法により減弱した.
アドバック療法を併用したエラゴリックスは,子宮筋腫を有する女性の重度の月経出血を減少させるのに有効であった.(アッヴィ社から研究助成を受けた.Elaris UF-1 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02654054,Elaris UF-2 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02691494)