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January 23, 2020 Vol. 382 No. 4

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活動期甲状腺眼症の治療に用いるテプロツムマブ
Teprotumumab for the Treatment of Active Thyroid Eye Disease

R.S. Douglas and Others

背景

甲状腺眼症は,消耗性で,外観が損なわれ,視力を失う可能性のある眼周囲疾患であり,米国食品医薬品局が承認した利用可能な薬物療法はない.インスリン様成長因子 I 受容体(IGF-IR)がこの疾患の成因に関与していることを示す強力なエビデンスがある.

方 法

無作為化二重盲検プラセボ対照第 3 相多施設共同試験で,活動期甲状腺眼症患者を,IGF-IR 阻害薬テプロツムマブ(teprotumumab)(初回は 10 mg/kg 体重,その後は 20 mg/kg)を静注する群とプラセボを投与する群に 1:1 の割合で割り付け,3 週間に 1 回,21 週間投与した.この解析のための最終受診は 24 週の時点であった.主要転帰は,24 週の時点での眼球突出に対する効果(眼球突出が 2 mm 以上減少)とした.事前に規定した 24 週の時点での副次的転帰は,全体的な効果(臨床的活動性スコア [CAS] が 2 点以上低下+眼球突出が 2 mm 以上減少),CAS 0 または 1(炎症がないまたは軽微であることを示す),試験のための受診期間中(ベースラインから 24 週の時点まで)の眼球突出の変化量の平均,複視に対する効果(複視のグレードが 1 以上低下),試験のための受診期間中(ベースラインから 24 週の時点まで)のグレーブス病眼症特異的 QOL(GO-QOL)質問票の全項目のスコアの変化量の平均(6 点以上の場合に臨床的に意味があると判定)とした.

結 果

41 例がテプロツムマブ群,42 例がプラセボ群に割り付けられた.24 週の時点で眼球突出に対する効果が認められた患者の割合は,テプロツムマブ群のほうがプラセボ群よりも高く(83% [34 例] 対 10% [4 例],P<0.001),治療必要数は 1.36 であった.全体的な効果(78% [32 例] 対 7% [3 例]),CAS 0 または 1(59% [24 例] 対 21% [9 例]),眼球突出の変化量の平均(-2.82 mm 対 -0.54 mm),複視に対する効果(68% [28 例中 19 例] 対 29% [28 例中 8 例]),GO-QOL 全項目のスコアの変化量の平均(13.79 点 対 4.43 点)を含む副次的転帰は,すべてテプロツムマブ群のほうがプラセボ群よりも有意に優れていた(いずれも P≦0.001).眼窩の画像検査を受けたテプロツムマブ群の 6 例では,外眼筋または眼窩脂肪量,あるいはその両方の減少が認められた.有害事象の大部分は重症度が軽度または中等度であった.重篤な事象はテプロツムマブ群で 2 件発現し,そのうち 1 件(注入に伴う反応)は投与中止にいたった.

結 論

活動期甲状腺眼症患者では,テプロツムマブにより,プラセボと比較して眼球突出,CAS,複視,QOL に関して良好な転帰が得られ,重篤な有害事象は少なかった.(ホライゾン セラピューティクス社から研究助成を受けた.OPTIC 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03298867,EudraCT 登録番号 2017-002763-18)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 382 : 341 - 52. )