The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

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日本語アブストラクト

February 13, 2020 Vol. 382 No. 7

HER2 陽性転移性乳癌に対するツカチニブ,トラスツズマブ,カペシタビン
Tucatinib, Trastuzumab, and Capecitabine for HER2-Positive Metastatic Breast Cancer

R.K. Murthy and Others

背景

ヒト上皮成長因子受容体 2(HER2)陽性転移性乳癌で,複数の HER2 標的薬による治療後に病勢進行した患者の治療選択肢は限られている.ツカチニブ(tucatinib)は,臨床試験中の,HER2 チロシンキナーゼ高選択的経口阻害薬である.

方 法

トラスツズマブ,ペルツズマブ,トラスツズマブ エムタンシンによる治療歴のある HER2 陽性転移性乳癌患者を,脳転移の有無を問わずツカチニブ群とプラセボ群に無作為に割り付け,いずれの群もトラスツズマブ,カペシタビンと併用投与した.主要評価項目は,無作為化された最初の 480 例における無増悪生存とした.副次的評価項目は,集団全体(612 例)で評価した,全生存,脳転移を有する患者における無増悪生存,客観的奏効を認めた割合,安全性などとした.

結 果

1 年無増悪生存率はツカチニブ併用群で 33.1%,プラセボ併用群で 12.3%であり(病勢進行または死亡のハザード比 0.54,95%信頼区間 [CI] 0.42~0.71,P<0.001),無増悪生存期間の中央値はそれぞれ 7.8 ヵ月と 5.6 ヵ月であった.2 年全生存率はツカチニブ併用群で 44.9%,プラセボ併用群で 26.6%であり(死亡のハザード比 0.66,95% CI 0.50~0.88,P=0.005),全生存期間の中央値はそれぞれ 21.9 ヵ月と 17.4 ヵ月であった.脳転移を有する患者では,1 年無増悪生存率はツカチニブ併用群で 24.9%,プラセボ併用群で 0%であり(ハザード比 0.48,95% CI 0.34~0.69,P<0.001),無増悪生存期間の中央値はそれぞれ 7.6 ヵ月と 5.4 ヵ月であった.ツカチニブ群で頻度の高かった有害事象は,下痢,手掌・足底発赤知覚不全症候群,悪心,疲労,嘔吐などであった.ツカチニブ併用群では,グレード 3 以上の下痢とアミノトランスフェラーゼ上昇がプラセボ併用群よりも多かった.

結 論

複数の治療歴のある HER2 陽性転移性乳癌患者(脳転移を有する患者を含む)において,トラスツズマブとカペシタビンにツカチニブを追加することで,プラセボを追加した場合と比較して無増悪生存転帰と全生存転帰が改善した.下痢とアミノトランスフェラーゼ上昇のリスクはツカチニブのほうが高かった.(シアトルジェネティクス社から研究助成を受けた.HER2CLIMB 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02614794)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 382 : 597 - 609. )