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February 27, 2020 Vol. 382 No. 9

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早期トリプルネガティブ乳癌に対するペムブロリズマブ
Pembrolizumab for Early Triple-Negative Breast Cancer

P. Schmid and Others

背景

早期トリプルネガティブ乳癌患者において,ペムブロリズマブは期待できる抗腫瘍活性と忍容可能な安全性プロファイルを伴うことが先行試験で示されている.術前化学療法にペムブロリズマブを追加することで,手術時に病理学的完全奏効(乳房に浸潤癌がなく,リンパ節転移が陰性と定義)を得ている早期トリプルネガティブ乳癌患者の割合が有意に上昇するかどうかは明らかにされていない.

方 法

第 3 相試験で,未治療の II 期または III 期トリプルネガティブ乳癌患者を,術前療法として 4 サイクルのペムブロリズマブ(200 mg)の 3 週ごと投与+パクリタキセルとカルボプラチンの投与を行う群(784 例,ペムブロリズマブ+化学療法群)と,プラセボの 3 週ごと投与+パクリタキセルとカルボプラチンの投与を行う群(390 例,プラセボ+化学療法群)に(2:1 の割合で)無作為に割り付けた.その後,2 群にさらに 4 サイクルのペムブロリズマブまたはプラセボの投与と,ドキソルビシン+シクロホスファミドまたはエピルビシン+シクロホスファミドの投与を行った.手術後,術後療法としてペムブロリズマブまたはプラセボの 3 週ごと投与を最大 9 サイクル行った.主要評価項目は,intention-to-treat 集団における手術時の病理学的完全奏効と無イベント生存期間とした.

結 果

1 回目の中間解析の時点で,無作為化された最初の 602 例における病理学的完全奏効割合は,ペムブロリズマブ+化学療法群で 64.8%(95%信頼区間 [CI] 59.9~69.5),プラセボ+化学療法群で 51.2%(95% CI 44.1~58.3)であった(推定治療差 13.6 パーセントポイント,95% CI 5.4~21.8,P<0.001).追跡期間中央値 15.5 ヵ月(範囲 2.7~25.0)の時点で,ペムブロリズマブ+化学療法群の 784 例中 58 例(7.4%)とプラセボ+化学療法群の 390 例中 46 例(11.8%)に,手術不能となる病勢進行,局所・遠隔再発または二次原発腫瘍,全死因死亡のいずれかが発生した(ハザード比 0.63,95% CI 0.43~0.93).全投与期間におけるグレード 3 以上の治療関連有害事象の発現率はペムブロリズマブ+化学療法群 78.0%,プラセボ+化学療法群 73.0%であり,これにはそれぞれ 0.4%(3 例)と 0.3%(1 例)の死亡が含まれた.

結 論

早期トリプルネガティブ乳癌患者のうち,ペムブロリズマブ+術前化学療法を受けた患者のほうが,プラセボ+術前化学療法を受けた患者よりも病理学的完全奏効割合が有意に高かった.(メルク シャープ&ドーム社 [メルク社の子会社] から研究助成を受けた.KEYNOTE-522 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03036488)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 382 : 810 - 21. )