The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

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日本語アブストラクト

January 2, 2020 Vol. 382 No. 1

脳梗塞後の 2 つの LDL コレステロール目標値の比較
A Comparison of Two LDL Cholesterol Targets after Ischemic Stroke

P. Amarenco and Others

背景

アテローム性動脈硬化に起因する一過性脳虚血発作(TIA)および脳梗塞の発症後は,スタチンによる積極的な脂質低下療法が推奨されている.脳卒中後の心血管イベントを減らすための低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール目標値については,十分な検討は行われていない.

方 法

フランスと韓国で行った並行群間試験で,3 ヵ月以内に脳梗塞または 15 日以内に TIA を発症した患者を,LDL コレステロール目標値を 70 mg/dL(1.8 mmol/L)未満とする群(低目標値群)と,90~110 mg/dL(2.3~2.8 mmol/L)とする群(高目標値群)に無作為に割り付けた.全例に脳血管または冠動脈のアテローム性動脈硬化の所見があり,スタチンまたはエゼチミブ,あるいはその両剤が投与されていた.主要エンドポイントは,脳梗塞,心筋梗塞,冠動脈または頸動脈の緊急血行再建にいたった新たな症状,心血管系の原因による死亡を含む,主要心血管イベントの複合とした.

結 果

2,860 例を登録し,中央値 3.5 年間追跡した.各 LDL コレステロール目標値群に 1,430 例が割り付けられた.ベースラインの平均 LDL コレステロール値は 135 mg/dL(3.5 mmol/L)であり,達成された LDL コレステロール値の平均は,低目標値群が 65 mg/dL(1.7 mmol/L),高目標値群が 96 mg/dL(2.5 mmol/L)であった.予測されたエンドポイントのイベント数 385 件のうち 277 件が発生した時点で,試験は管理上の理由で中止された.複合主要エンドポイントは,低目標値群の 121 例(8.5%)と高目標値群の 156 例(10.9%)に発生した(補正ハザード比 0.78,95%信頼区間 0.61~0.98,P=0.04).頭蓋内出血および新たに診断された糖尿病の発生率に 2 群間で有意差は認められなかった.

結 論

アテローム性動脈硬化の所見を伴う脳梗塞または TIA の発症後,LDL コレステロール目標値を 70 mg/dL 未満とした患者では,90~110 mg/dL とした患者よりもその後の心血管イベントのリスクが低かった.(フランス保健省ほかから研究助成を受けた.Treat Stroke to Target 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01252875)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 382 : 9 - 19. )