September 17, 2020 Vol. 383 No. 12
病期 III 悪性黒色腫に対するダブラフェニブとトラメチニブの併用による術後補助療法の 5 年間の解析
Five-Year Analysis of Adjuvant Dabrafenib plus Trametinib in Stage III Melanoma
R. Dummer and Others
以前に報告したこの第 3 相試験の主要解析では,BRAF V600E または V600K 変異陽性の病期 III 悪性黒色腫を切除した患者にダブラフェニブ+トラメチニブによる術後補助療法を 12 ヵ月間行うことで,プラセボと比較して無再発生存期間が有意に延長した.無再発生存期間に対する利益の安定性を確認するためには,より長期のデータが必要であった.
BRAF V600E または V600K 変異陽性の病期 III 悪性黒色腫を切除した患者 870 例を,ダブラフェニブ(1 回 150 mg を 1 日 2 回)+トラメチニブ(2 mg を 1 日 1 回)を 12 ヵ月間経口投与する群と,それぞれにマッチさせたプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは無再発生存期間とした.本稿では,無再発生存期間と,初回再発部位が遠隔転移ではない生存期間の 5 年間の結果を報告する.全生存期間の最終解析に必要なイベント数に達していなかったため,全生存期間の解析は行わなかった.
最短の追跡期間は 59 ヵ月であった(患者追跡期間の中央値はダブラフェニブ+トラメチニブ群 60 ヵ月,プラセボ群 58 ヵ月).5 年の時点で,再発なく生存していた患者の割合は,ダブラフェニブ+トラメチニブ群で 52%(95%信頼区間 [CI] 48~58),プラセボ群で 36%(95% CI 32~41)であった(再発または死亡のハザード比 0.51,95% CI 0.42~0.61).遠隔転移なく生存していた患者の割合は,ダブラフェニブ+トラメチニブ群で 65%(95% CI 61~71),プラセボ群で 54%(95% CI 49~60)であった(遠隔転移または死亡のハザード比 0.55,95% CI 0.44~0.70).追跡期間中に報告された重篤な有害事象の発現率または重症度に,群間で臨床的に意味のある差は認められなかった.
BRAF V600E または V600K 変異陽性の病期 III 悪性黒色腫を切除した患者を対象とした第 3 相試験の 5 年間の追跡調査で,ダブラフェニブ+トラメチニブによる 12 ヵ月間の術後補助療法を行った場合,プラセボと比較して再発または遠隔転移のない生存期間が延長し,明らかな長期の毒性は認められなかった.(グラクソ・スミスクライン社,ノバルティス社から研究助成を受けた.COMBI-AD 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01682083,EudraCT 登録番号 2012-001266-15)