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September 17, 2020 Vol. 383 No. 12

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慢性閉塞性肺疾患に対する夜間酸素投与の無作為化試験
Randomized Trial of Nocturnal Oxygen in Chronic Obstructive Pulmonary Disease

Y. Lacasse and Others

背景

慢性閉塞性肺疾患(COPD)を有し,慢性的に日中に重度の低酸素血症を生じる患者では,長期酸素療法によって生存が改善する.しかし,夜間のみの低酸素血症の管理における酸素療法の有効性は明らかにされていない.

方 法

夜間の動脈血酸素飽和度低下を認めるが,長期酸素療法の適応がない COPD 患者に夜間酸素療法を 3~4 年間行うことで,死亡または COPD の増悪,すなわち長期酸素療法の現在の適応基準を満たす状態になることが減少するかどうかを明らかにする目的で,二重盲検プラセボ対照無作為化試験をデザインした.夜間パルスオキシメトリーでの記録時間の 30%以上が酸素飽和度 90%未満であった患者を,夜間酸素投与を受ける群と,偽酸素濃縮器で室内気を吸入する群(プラセボ群)に 1:1 の割合で割り付けた.主要評価項目は,intention-to-treat 集団における全死因死亡または Nocturnal Oxygen Therapy Trial(NOTT)基準に示されている長期酸素療法の必要性の複合とした.

結 果

28 施設で,計画していた 600 例のうち 243 例が無作為化された時点で,患者の募集と参加の継続が困難であったことから,募集は早期に中止された.追跡 3 年の時点で,夜間酸素投与群に割り付けられた患者の 39.0%(123 例中 48 例)とプラセボ群に割り付けられた患者の 42.0%(119 例中 50 例)が,NOTT の長期酸素療法の適応基準を満たすか,死亡していた(差 -3.0 パーセントポイント,95%信頼区間 -15.1~9.1).

結 論

この試験は検出力が不十分であり,COPD 患者に対する夜間酸素投与が,生存または長期酸素療法を必要とする状態への進行に正の効果をもたらすのか,負の効果をもたらすのかは示さない.(カナダ国立保健研究機構から研究助成を受けた.INOX 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01044628)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 383 : 1129 - 38. )