September 24, 2020 Vol. 383 No. 13
進行固形腫瘍におけるソトラシブによる KRASG12C 阻害
KRASG12C Inhibition with Sotorasib in Advanced Solid Tumors
D.S. Hong and Others
癌の KRAS 変異を標的とする治療法で承認されているものはない.KRAS p.G12C 変異は非小細胞肺癌(NSCLC)の 13%,大腸癌やその他の癌の 1~3%に生じる.ソトラシブ(sotorasib)は KRASG12C を選択的かつ不可逆的に標的とする低分子薬である.
KRAS p.G12C 変異陽性進行固形腫瘍患者を対象に,ソトラシブの第 1 相試験を行った.患者にソトラシブを 1 日 1 回経口投与した.主要評価項目は安全性とした.重要な副次的評価項目は,薬物動態と,固形癌治療効果判定基準(RECIST)バージョン 1.1 で評価した客観的奏効とした.
129 例(NSCLC 59 例,大腸癌 42 例,その他の腫瘍 28 例)を用量漸増コホートと拡大コホートに組み入れた.転移癌に対する前治療のレジメン数は中央値で 3(範囲 0~11)であった.用量制限毒性や治療関連死は認められなかった.73 例(56.6%)に治療関連有害事象が認められ,15 例(11.6%)ではグレード 3 または 4 であった.NSCLC のサブグループでは,32.2%(19 例)で客観的奏効(完全奏効または部分奏効)が確認され,88.1%(52 例)で病勢コントロール(客観的奏効または病勢安定)が得られ,無増悪生存期間中央値は 6.3 ヵ月(範囲 0.0+~14.9 [+は数値がデータカットオフ時点で打ち切りとした患者データを含むことを示す])であった.大腸癌のサブグループでは,7.1%(3 例)で奏効が確認され,73.8%(31 例)で病勢コントロールが得られ,無増悪生存期間中央値は 4.0 ヵ月(範囲 0.0+~11.1+)であった.膵癌,子宮内膜癌,虫垂癌,悪性黒色腫の患者でも奏効が認められた.
ソトラシブは,複数の前治療歴のある KRAS p.G12C 変異陽性進行固形腫瘍患者において有望な抗腫瘍活性を示した.グレード 3 または 4 の治療関連毒性が患者の 11.6%に認められた.(アムジェン社ほかから研究助成を受けた.CodeBreaK100 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03600883)